| 件名 | 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願 | ||||
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| 新件番号 | 534 | 所管省庁 | 厚生労働省 | 内閣処理経過受領年月日 | R7.12.9 |
| 処理要領 | 一 腎臓病の早期発見と重症化予防については、政府としては、平成三十年七月に腎疾患対策検討会で取りまとめた「腎疾患対策検討会報告書」や令和五年十月に腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会で取りまとめた「腎疾患対策検討会報告書(平成三十年七月)に係る取組の中間評価と今後の取組について」を踏まえ、必要な取組を進めているところである。 具体的には、総合的な腎疾患対策を推進するため、都道府県等における患者等一般向けの講演会等の開催や医療関係者を対象とした研修の実施等に係る補助事業において、慢性腎臓病に関する正しい知識の普及や対策に必要な人材育成等を引き続き推進するとともに、慢性腎臓病の重症化予防のための診療体制の構築や、多職種連携による療養指導等を行うためのモデル事業を実施しているところであるが、さらに、令和六年度に、関連学会の監修の下、腎臓専門医・腎臓専門医療機関への紹介基準を示したリーフレットを作成し、公益社団法人日本医師会を通じて広く周知した。 加えて、腎疾患政策研究事業において、医療機関間連携や慢性腎臓病の普及啓発活動の好事例の把握等をしつつ、研究班の公式ホームページ等で周知するとともに、慢性腎臓病患者に特有の健康課題に適合した多職種連携による生活・食事指導等の実証研究を行い、実態調査や得られたエビデンスから、多職種連携指導に係る手引きを作成した。 また、令和六年度診療報酬改定において、多職種が連携した生活習慣に関する指導を行った場合の評価を行う慢性腎臓病透析予防指導管理料が新設された。 引き続き、腎疾患対策の推進に必要な取組を行ってまいりたい。 二 介護保険は、要介護認定又は要支援認定(以下「要介護認定等」という。)により要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)であると認められた介護保険の被保険者に対して、介護サービスに係る保険給付を行うものである。六十五歳以上の者は原因を問わず、四十歳以上六十五歳未満の者は糖尿病性腎症等の加齢に伴って生じる疾病が原因で要介護状態又は要支援状態になったときに、要介護認定等を受けることができ、要介護者等と認められた腎臓病患者は、必要な介護サービスを受けることが可能である。 介護保険施設のうち、特別養護老人ホームについては、令和三年度及び令和四年度の老人保健健康増進等事業において、透析が必要な方も含む入所者の医療ニーズの実態、外部の医療機関との協力・連携体制等について調査研究を実施した。特別養護老人ホームにおける医療ニーズへの対応については、こうした調査結果等を踏まえ、令和六年度介護報酬改定において、透析が必要な者の受入れに係る負担を軽減する観点から、定期的かつ継続的に透析を必要とする入所者であって、家族や病院等による送迎が困難である等やむを得ない事由がある者について、施設職員が月十二回以上の送迎を行った場合において評価する新たな加算を設けており、これらの施策の効果を踏まえつつ、引き続き必要な取組について検討を進めてまいりたい。 三 透析患者が利用できる移動手段の確保については、地域の実情に応じて、地方公共団体等が中心となって様々な事業が行われているほか、要介護認定等や障害福祉サービスの支給決定を受けた透析患者は、介護保険制度又は障害福祉制度により居宅から医療機関に通院する際に、ヘルパーによる介助等のサービスを受けることが可能である。 また、透析患者等をはじめ障害を有すること等により単独での移動が困難である者については、タクシー・福祉タクシーに加え、市町村、NPO法人等が自家用車を用いて実施する福祉有償運送も利用できるよう、地域における移動手段の確保に向けた取組を推進してまいりたい。 四 高齢化が進行し、生産年齢人口が減少する中、透析患者を含む医療提供体制を確保するため、都道府県を中心として、医療計画等に基づき、地域の実情に応じて、医師、看護師、臨床工学技士等の医療従事者の確保に向けた取組が進められており、政府においては、地域医療介護総合確保基金により財政支援を行っている。 医療従事者を確保しにくい地域における透析医療については、現状の把握や、遠隔医療の利用を含めた対応事例の収集を目的とした調査を行う予定である。 五 政府では、透析患者に関わらず、長期にわたる治療を受けながら就職を希望される方(長期療養者)への就職支援を推進しており、例えば、治療と就労の両立を希望する求職者が利用できる支援機関として公共職業安定所が、事業者が利用できる支援機関として産業保健総合支援センターが、それぞれ運営されているところである。 また、腎疾患政策研究事業において、透析患者を含む慢性腎臓病患者に関する治療と就労の両立支援に資する研究を行 っており、勤労世代の生活・就労等の実態調査や、企業・医療機関向けの治療と仕事の両立支援のためのマニュアルの作成を進めているほか、慢性腎臓病重症化予防のための診療体制構築及び多職種連携モデル事業の中で、慢性腎臓病患者の治療と仕事の両立支援に資する取組の好事例の収集を行っている。これらの事業の結果等も踏まえ、透析患者の治療と就労の両立のための支援対策を推進してまいりたい。 六 災害時における人工透析の提供体制については、「厚生労働省防災業務計画」(平成十三年二月十四日厚生労働省発総第十一号)に定めるとともに、東日本大震災の教訓を踏まえ、公益社団法人日本透析医会災害時情報ネットワークシステムの機能強化に対する補助を行い、災害時の透析患者の受入体制の充実を図ったところである。また、令和六年能登半島地震においては、同ネットワークシステムを通じ、国、地方公共団体及び公益社団法人日本透析医会が連携して、人工透析の提供体制の確保に努めたところである。 令和七年度からは、大規模地震時医療活動訓練において、関係団体と協力しながら、透析医療機関の被害を想定した避難・搬送のシミュレーション等の訓練を実施している。 これらのほか、腎疾患政策研究事業において、災害時や感染症流行下にも対応可能な慢性腎臓病の診療体制の確保等に資する研究を行っている。 引き続き、地方公共団体及び公益社団法人日本透析医会と連携するとともに、腎疾患政策研究事業を通じて得られた知見を踏まえ、災害時の透析患者の受入体制の整備に取り組んでまいりたい。 七 腎臓移植を含めた臓器移植の推進については、臓器あっせん機関と連携したSNSでの発信並びに全国の中学校へのパンフレットの配布及び授業でのパンフレットの活用の働きかけ等、国民の臓器提供の意思表示に繋がるような普及啓発を実施している。また、臓器提供を希望する方の意思が反映されるよう、臓器提供施設、臓器あっせん機関及び移植実施施設のそれぞれが十分に機能を発揮していくために、臓器移植体制の見直しを進めており、引き続き、これらの取組を通じて、臓器移植の推進に努めてまいりたい。 再生医療については、令和七年度予算において、実用化に近い臨床研究を重点的に支援する経費等を計上し、研究体制の充実を図っている。 再生医療の研究の推進及び実用化に資するよう、引き続き、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成二十五年法律第八十五号)及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)の規定に基づき、制度の円滑な運用に努めてまいりたい。 | ||||