請願

 

第216回国会 請願の要旨

新件番号 168 件名 介護保険制度の抜本改善、介護従事者の処遇改善に関する請願
要旨  介護保険制度は施行二十四年が経過した。しかし、利用料、食費・居住費などの重い費用負担のために必要なサービスを利用できない実態が広がり続けており、家族の介護を理由とする介護離職も高止まりのままである。二〇二四年度の介護報酬改定はプラス改定となったが、介護職員と全産業平均との月額約七万円の賃金格差を埋めるには程遠い内容であり、介護事業所の経営に困難をもたらしている物価上昇分をカバーすることもできない不十分な改定である。さらに、訪問介護の報酬が引き下げられたことで、地域で最も身近な小規模の訪問介護事業所が廃業に追い込まれる事態が生じており、各地で不安と怒りの声が噴出し続けている。介護現場の人手不足も深刻である。ヘルパーの有効求人倍率は十五倍を前後しており、このままでは介護の担い手がいなくなって介護保険制度そのものが崩壊しかねない。こうした中、政府は先送りとなった利用料二割負担の対象拡大、ケアプラン有料化、要介護一、二のサービスの保険給付外しなど、更なる改悪に向けた審議を二〇二五年から再開しようとしている。権利としての介護保障を実現するためには、社会保障費を増やし、介護保険の国庫負担を引き上げ、制度の抜本改善、介護従事者の大幅な処遇改善と増員を図ることが何よりも必要である。介護保険の立て直しは待ったなしの課題である。制度の改悪を即刻中止し、憲法第二十五条に基づいたケアが大切にされる社会の実現を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、社会保障費を大幅に増やし、必要なときに必要な介護が保障されるよう、費用負担の軽減、サービスの拡充など介護保険制度の抜本的な見直しを行うこと。介護保険財政に対する国庫負担の割合を大幅に引き上げること。
二、訪問介護の基本報酬の引下げを撤回し、介護報酬全体の大幅な底上げを図る再改定を至急行うこと。その際はサービスの利用に支障が生じないよう、利用料負担の軽減などの対策を講じること。
三、利用料二割負担の対象者の拡大、ケアプランの有料化、要介護一、二の保険給付外し(総合事業への移行)など、介護保険の利用に重大な困難をもたらす新たな制度見直しを検討しないこと。
四、全額国庫負担により、全ての介護従事者の賃金を全産業平均まで早急に引き上げること。介護従事者を大幅に増やし、一人夜勤の解消、人員配置基準の引上げを行うこと。

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