請願

 

第213回国会 請願の要旨

新件番号 2873 件名 国際人権規約に基づく無償教育の実現に関する請願
要旨  大学授業料の値上げが止まらない。私立大学の二割が授業料の値上げを予定している。学生生活調査(二〇二〇年度)によると、大学生一年間の平均学生生活費百八十一万円のうち三分の二の百十五万円を学費が占める一方、収入では家庭からの給付が減り続けている。誕生から八十年たつ日本学生支援機構の奨学金制度は、いまだに事業予算の八割が海外では奨学金と呼ばれない返還義務付きの学生ローンである。二〇二〇年度に創設された大学等修学支援制度は、給付奨学金と授業料減免により学費と生活費の両面を支える制度であるが、学力・家計などの選考基準が厳しく十分に活用されていない。岸田政権のこども未来戦略に盛り込まれた負担軽減策も学費自体は下げず、子供の数や専攻分野により学ぶ権利を差別し新たな学生ローンである授業料後払いを導入するなど教育無償化に逆行している。二〇一二年九月、日本政府は国際人権A規約第十三条第二項(権利としての無償教育)を全て批准し、幼稚園から大学院まで全ての教育段階において無償教育を実現すると国際公約した。あれから十一年経過したがいまだに実現の道筋が見えない。教育への公財政支出は経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち対GDP比平均(二〇二〇年)四・三%に対し、日本は三・〇%と加盟国中下から二番目である。今こそ、教育を受ける権利として学費は無償にすること、奨学金は給付にすることの実現を強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、大学等修学支援制度は、大学院生も含め希望者全員が受けられる制度にすること。
二、教育無償化に逆行する「授業料後払い制度」の導入をやめること。
三、貸与型奨学金制度にいき値(年収四百万円)と返還期間上限(三十年間)を設けること。
四、教育予算をOECD加盟国平均水準(対GDP比)に引き上げ、全ての段階の無償教育を実現させる具体的計画を作り立法化すること。

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