請願

 

第213回国会 請願の要旨

新件番号 2044 件名 震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願
要旨  東日本大震災は地震・津波により未曽有の被害をもたらすとともに、福島原発事故により大きな影響を残している。帰還困難区域がいまだに指定され、避難した人たちは住み慣れた地に戻る目途すら立っていない。真の復旧・復興のためには一層の支援が必要である。昨年は、前線の影響や相次ぐ台風により全国各地で大雨被害が発生した。堤防決壊や越水による大規模水害、土砂災害など広い範囲で多大な被害が国民生活に大きな影響を及ぼした。災害への備えや行政などの公的機関の危機管理体制の脆弱(ぜいじゃく)さが改めて明らかになるとともに、防災・減災のための公共インフラ整備と既存施設の適切な維持管理が不可欠であることが示された。令和三年に発生した熱海市伊豆山地区の土石流災害では、違法な盛土工事が建設発生土(残土)の不適正な処分により引き起こされ、同様に危険な状況が全国に点在していることが明らかとなった。昨年五月に施行された宅地造成等規制法の一部を改正する法律(以下「盛土規制法」という。)は、同様の被害を防止するため、それまでの法的・制度的欠陥に対処するものである。しかし、建設発生土(残土)の不適正な処分を規制する法律は存在せず、盛土規制法でも対象外であることから、盛土規制法も含めて発生者責任を明確にするなどの法制度の整備が強く求められる。防災や施設の維持管理の最前線に立つ地域建設業をその担い手にふさわしく再生しなければならない。しかし、建設産業で働く労働者は、低賃金や過酷な長時間労働などの労働条件の劣悪さから入職者が減少し、産業自体が消滅しかねない重大な危機に陥っている。企業の存続や技術の継承、建設コンサルタントを含めた建設労働者の確保困難などに対応するため、いわゆる建設産業の担い手三法及び職人基本法が制定されるとともに、公共工事の設計労務単価や設計業務委託等技術者単価が十二年間連続で引き上げられたが、いまだ最前線で働く建設労働者や建設関連業で働く労働者の賃金改善は進んでいないのが現状である。災害からの復興を最優先とし、国民の安全・安心の願いに応える公共事業を実現するために、公共事業を防災・生活関連・環境保全優先に転換すること、公正な賃金・労働条件と業者の適正な収入・仕事を確保することにより、地域社会を支える建設業並びに建設関連業の再生を図ることを強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、災害からの復興を最優先とし公共事業を防災・生活関連・環境保全優先に転換すること。
 1 地震や河川の氾濫、土石流など、災害からの復旧・復興を最優先で行うこと。
 2 公共事業を防災・生活関連・環境保全の事業優先に転換すること。
 3 公共工事の監督・検査、公共施設の維持・管理は国と自治体が責任を持って行うこと。
 4 地域建設業育成や建設労働者保護を実施し国民の安全・安心を守り、行政機関としての責任を果たすため、公共事業発注官公庁及び独立行政法人などの体制を強化し、必要な職員を確保すること。
 5 災害復興及び公共事業の計画策定に当たっては、過程の情報公開、住民参加システムの確立、年次ごとの再検討を原則とすること。
 6 建設発生土(残土)の発生者責任を明確にするなどの法制度の改正・整備の措置を国として講じること。
二、公正な賃金・労働条件と中小業者の適正な収入・仕事を確保すること。
 1 建設産業の元下関係における片務性を是正し、下請及び資材業者の適正な利益が確保される仕組みをつくること。
 2 地域の安全・安心を支える中小建設業者の経営安定と建設労働者の雇用を確保できる持続的な施策を実行すること。

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