新件番号 | 2029 | 件名 | 震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業における公正な賃金・労働条件の確保に関する請願 |
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要旨 | 東日本大震災は地震・津波により未曽有の被害をもたらすとともに、福島原発事故により大きな影響を残している。帰還困難区域がいまだに指定され、避難した人たちは住み慣れた地に戻る目途すら立っていない。真の復旧・復興のためには一層の支援が必要である。昨年は、前線の影響や相次ぐ台風により全国各地で大雨被害が発生した。堤防決壊や越水による大規模水害、土砂災害など広い範囲で多大な被害が国民生活に大きな影響を及ぼした。災害への備えや行政などの公的機関の危機管理体制の脆弱(ぜいじゃく)さが改めて明らかになるとともに、防災・減災のための公共インフラ整備と既存施設の適切な維持管理が不可欠であることが示された。令和三年に発生した熱海市伊豆山地区の土石流災害では、違法な盛土工事が建設発生土(残土)の不適正な処分により引き起こされ、同様に危険な状況が全国に点在していることが明らかとなった。昨年五月に施行された宅地造成等規制法の一部を改正する法律(以下「盛土規制法」という。)は、同様の被害を防止するため、それまでの法的・制度的欠陥に対処するものである。しかし、建設発生土(残土)の不適正な処分を規制する法律は存在せず、盛土規制法でも対象外であることから、盛土規制法も含めて発生者責任を明確にするなどの法制度の整備が強く求められる。防災や施設の維持管理の最前線に立つ地域建設業をその担い手にふさわしく再生しなければならない。しかし、建設産業で働く労働者は、低賃金や過酷な長時間労働などの労働条件の劣悪さから入職者が減少し、産業自体が消滅しかねない重大な危機に陥っている。企業の存続や技術の継承、建設コンサルタントを含めた建設労働者の確保困難などに対応するため、いわゆる建設産業の担い手三法及び職人基本法が制定されるとともに、公共工事の設計労務単価や設計業務委託等技術者単価が十二年間連続で引き上げられたが、いまだ最前線で働く建設労働者や建設関連業で働く労働者の賃金改善は進んでいないのが現状である。災害からの復興を最優先とし、国民の安全・安心の願いに応える公共事業を実現するために、公共事業を防災・生活関連・環境保全優先に転換すること、公正な賃金・労働条件と業者の適正な収入・仕事を確保することにより、地域社会を支える建設業並びに建設関連業の再生を図ることを強く求める。 ついては、次の事項について実現を図られたい。 一、公正な賃金・労働条件と中小業者の適正な収入・仕事を確保すること。 1 公契約法(公共事業における賃金等確保法)を制定するなど、適正な賃金支払を、末端労働者まで担保する仕組みをつくること。 2 建設業における時間外労働について、災害時における復旧及び復興の事業を除き、上限規制を全て適用すること。 3 建設現場の労働災害、じん肺・アスベスト被害の発生を抑えるために予防・防止対策を強化すること。また、不幸にして被災した全ての患者を速やかに救済すること。 4 建設業及び建設関連業の各業種を労働者派遣法の適用対象としないこと。 |