請願

 

第213回国会 請願の要旨

新件番号 222 件名 全国一律最低賃金制度の実現に関する請願
要旨  最低賃金は二〇二三年の改定によって加重平均千四円となったが、加重平均を上回る地域は七つしかなく、最高額の東京都(千百十三円)と最低額の県(八百九十三円)との差は二百二十円であり、地方から都市部への人口流出、地域経済疲弊の要因となっている。何より急激な物価高騰の中、最低賃金近傍で働く労働者から、これでは暮らしていけないと悲鳴が上がっており、最低賃金の地域間格差を解消し大幅に引き上げることは喫緊の課題となっている。政府が二〇一五年より掲げてきた最低賃金千円の目標がようやく達成されたことになるが、全国二十八都道府県で取り組んできた最低生計費試算調査で、八時間働けば人間らしく暮らせるには全国どこでも月額二十四万円(時給千五百円)以上必要であることが明らかになっている。現行の最低賃金法は最低賃金決定の三要素であるその地域の労働者の生計費と賃金、事業の賃金支払能力を考慮し地域別に最低賃金額を決めている。そのため、地域別である限り最低賃金額が低い地域では、その現状の支払能力や経済状況を基に最低賃金額が決められ低いままとなる。また、最低賃金額の高い地域は低い地域を考慮し決められている。このように地域別最低賃金制度は引上げを妨げる構造的な欠陥があり、最低賃金を大幅に引き上げるには地域別から全国一律最低賃金に法改正することが必要である。最低賃金の引上げに当たっては、中小企業に対する支援の抜本的な強化は欠かすことができない。最低賃金決定の三要素のうち事業の賃金支払能力を除外し、中小企業・小規模事業者が最低賃金の引上げに対応できる特別な支援策と財政措置を国の責任として法律に明記すべきである。最低賃金法を改正し、全国一律千五百円以上を実現することで、誰でもどこでも普通に働けば人間らしい暮らしができ、若者の経済的自立を促して家族形成が現実と思える社会に変え、人口減少に歯止めを掛けるべースをつくることができる。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、全ての働く人に人間らしい生活を保障するため、最低賃金法を改正し、生計費原則に基づく「全国一律最低賃金制度」を実現すること。

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