請願

 

第213回国会 請願の内閣処理経過

件名 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願
新件番号 2585 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 R6.12.10
処理要領 一 政府としては、てんかんに関する正しい知識や理解の普及啓発を推進する観点から、公益社団法人日本てんかん協会及び一般社団法人日本てんかん学会が共催する「世界てんかんの日」記念事業や、同協会及び同学会が定める「てんかん月間」に対して後援しており、また、それらの行事において講演等を行っているところである。
  このほか、精神保健医療福祉の一環として、てんかんについて施策を講じているところであり、平成十六年九月に策定した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」において掲げた「こころのバリアフリー宣言」や令和四年六月に取りまとめられた社会保障審議会障害者部会の報告書等に基づき、精神障害に関する正しい知識の普及啓発に取り組んでいる。また、平成二十七年度からは、「てんかん地域診療連携体制整備事業」において地域の医療従事者等への研修や地域住民等への普及啓発を実施している。
  上記の取組に加え、平成二十六年三月に策定した良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針(平成二十六年厚生労働省告示第六十五号。以下「指針」という。)において、てんかんに関する正しい知識や理解の普及啓発を推進する旨が規定されていることを踏まえ、「ヘルプマーク」の配布等の各自治体での取組も参考にしつつ、てんかんに関する正しい知識や理解の普及啓発を進めてまいりたい。
二 てんかん診療における地域連携体制については、指針において、専門的な診療を行うことができる体制を整備し、てんかんの診療ネットワークを整備する旨を盛り込んでおり、「てんかん地域診療連携体制整備事業」において、てんかん患者及びその家族が専門的な治療や相談支援を受けられるよう地域診療連携体制を構築するため、てんかん支援拠点病院の整備を順次進めている。
  また、てんかん治療支援に関する統括機関であるてんかん全国支援センターにおいて、てんかん患者及びその家族等と関係機関との円滑な連絡・調整を担うてんかん診療支援コーディネーターの認定制度の取組を進めている。
  加えて、令和五年度には障害者総合福祉推進事業費補助金により、てんかん支援拠点病院等における心因性非てんかん性発作等の実態把握を行っており、引き続き、地域におけるてんかんの専門的な診療を行うことができる体制や医療機関間の連携、てんかんの診療ネットワークの整備を進めてまいりたい。
  難治てんかんに関する研究・開発については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構において、難治性疾患実用化研究事業により、令和四年度から「マルチオミクス解析を用いた細胞間相互作用に注目した精神神経ループスの病態解明」、「疾患モデルオンチップ血管網によるスタージ・ウェーバー症候群の異常脳血管の再現と病態解明」及び「ARXポリアラニン伸長変異によるウエスト症候群の病態解明」に関する研究を実施し、令和五年度からは「細胞およびマウスモデルを用いたRhoBTB2関連神経発達症の分子病態解明と疾患概念の確立」に関する研究を実施する等の取組を行っているところである。引き続き、病態解明や新薬開発に向けた研究の推進など、必要な支援を行ってまいりたい。
  また、厚生労働大臣が定める国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターの中長期目標において、難治性・希少性の疾患に関する研究開発及びこれらの業務に密接に関連する医療の提供等について重点的に取り組むよう定めていることを受け、同センターの令和三年度から令和八年度までの第三期中長期計画においては、重点的に取り組む研究開発として、「難治てんかんなどの難治性・希少性の高い疾患における治療薬の開発並びに標準治療法の確立に向けての研究開発」が挙げられており、難治てんかんに関する複数の研究が行われている。引き続き、難治てんかんの研究を推進するため、同センターに対して必要な支援を行ってまいりたい。
三 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)における「障害支援区分」の認定に関しては、てんかんに罹(り)患している者を含む精神障害者の特性に応じて適切に行われるよう、認定業務に携わる者の資質の向上を図る取組等を行っている。
  また、障害福祉サービスについては、市町村において、サービスの利用に関する具体的な内容や意向を把握した上で、個々の障害者の状況に応じた支給決定を行うこととなっており、引き続き、その周知に努めてまいりたい。
  てんかんに関する相談窓口については、精神医療及び精神保健福祉に関する相談に対応する精神保健福祉センター等で、相談指導を行う際に、必要に応じて関係機関の協力を求めることとしており、引き続き、てんかんに罹患している者を含む障害者が地域社会で安心して暮らすことができる体制 の整備に取り組んでまいりたい。
四 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)に基づき、事業主は、雇用の分野における障害者に対する差別が禁止されるとともに、障害者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための措置の実施が義務付けられているほか、障害者に対する差別等が行われている場合、必要に応じて厚生労働大臣から事業主に対し、助言、指導又は勧告を行うことができることとされている。
  引き続き、同法の周知啓発に努めるとともに、同法の規定に違反する事案が認められる場合には、その是正を図ってまいりたい。
  さらに、てんかんに罹患している者を含む精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた精神障害者は法定雇用率の算定基礎の対象となっているところ、令和四年十二月に公布された障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律(令和四年法律第百四号)による改正後の障害者の雇用の促進等に関する法律において、週所定労働時間が十時間以上二十時間未満の精神障害者については、令和六年四月から特例的に実雇用率の算定対象に加えたところである。引き続き、公共職業安定所において、障害者がその能力に適合する職業に就けるよう、個々の特性等に応じた就職支援に努めてまいりたい。

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