請願

 

第212回国会 請願の要旨

新件番号 15 件名 国籍選択制度の廃止に関する請願
要旨  一九八五年に施行された国籍法改正で、外国人父と日本人母の間に生まれた子供たちも、日本国籍取得ができるようになった。しかし、このときに導入された国籍選択制度で、父と母の二つの国籍を持つ子供たちや、父母が日本人でも出生地の国籍と日本国籍を同時に持つ子供たちは、成年後から二年までの国籍選択を義務付けられている。子供たちが日本国籍を保持するためには、外国籍を離脱するか、外国籍を放棄する旨の国籍選択届を提出しなければならない。定められた期間内にこれを提出しなければ日本国籍を失うこともあるとされている(国籍法第十四条、第十五条)。父と母の異なった国籍や文化を受け継ぐ子供たちは、両方を大切にしながら人格を形成、成長する。多文化と多言語を身に付けた者の存在は、日本社会に多様性と豊かさを与える。ところが、選択制度は、子供に父母の一方を選ばせるに等しい負担や苦痛を与えている。日本の国際化に貢献できる人材が選択制度のために日本国籍を失うのは、少子高齢化社会の現状を考えても、日本にとって大きな損失である。選択制度は、一九三〇年の条約に倣ったものであるが、その後、ヨーロッパの状況は大きく変化し、一九九七年には出生により異なる国籍を取得した子供には、権利として当然に重国籍を容認するヨーロッパ国籍条約が採択された。国と国の距離が短くなり往来が自由になった時代に、国籍法の国籍唯一の原則は現実にそぐわなくなっている。世界的な流れと社会的変化を考慮し、子供たちの重国籍の維持を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、「国籍選択制度」の廃止をすること。

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