請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 2357 件名 中国帰国者二世の生活支援等に関する請願
要旨  中国残留孤児・婦人(以下「帰国者一世」という。)の帰国後の生活支援などを行うため、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(以下「新支援法」という。)が成立し、その後、帰国者一世の配偶者の生活支援などを行うための新支援法の一部改正が行われた。しかし、帰国者一世の子供たち(以下「帰国者二世」という。)に対しては何らの法的支援もなされていない。多くの帰国者二世は、日本政府が帰国を制限したことによって高齢になってからの私費帰国を余儀なくされた。日本政府は、私費帰国者に対しては就労支援も日本語習得支援も行わなかったため、言葉の壁や高齢により低賃金の単純な肉体労働の仕事にしか就けず、新支援法が成立する前の帰国者一世と同様に老後を支える貯蓄も年金もないまま生活保護に頼らざるを得ない状況となっているか、若しくは、仕事ができなくなれば生活保護に頼るしかない状況となっている。さらに、多くの帰国者二世が日本語でコミュニケーションを取ることができず社会の中で孤立し、憲法第二十五条で国民に等しく保障されている、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有することができない状況に置かれている。帰国者二世は日本と中国にルーツがあり、日中友好の懸け橋になれる大事な存在である。帰国者二世が人間の尊厳を回復し、日中友好のために活躍できる場をつくることが強く求められている。
 ついては、帰国者二世においても帰国者一世ないしその配偶者と同様に安定した老後の生活が送れるよう、また、人間の尊厳を回復し社会で活躍できる場を提供するよう、次の事項について実現を図られたい。

一、国費帰国と私費帰国との区別をすることなく全ての帰国者二世に対し、帰国者一世ないしその配偶者への支援(新支援法)に準じる支援給付金と老齢年金支給が可能となる法改正を行うこと。
二、全ての帰国者二世が適正な医療・行政サービスが受けられるように利用施設への通訳人の派遣・常駐を行い、又は、希望する帰国者二世に対して通訳機器の貸与を行うこと。
三、全ての中国帰国者(残留婦人、残留孤児、帰国者二世、それらの配偶者)の「人間の尊厳」を尊重し回復するため、国と自治体の各関係機関との連携を強化し、柔軟かつ実効的な「就労支援」「日本語学習・文化交流支援」「生活保護受給者への渡航期間制限撤廃」を実現するための法改正又は行政運用を行うこと。

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