請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 907 件名 佐渡島の金山の世界遺産登録推薦書の公開と対話に関する請願
要旨  日本政府は、これまでに佐渡島の金山の世界遺産登録に関係する推薦書をユネスコ世界遺産委員会に四件提出しているが、一つも公開していない。一件目は金を中心とする佐渡鉱山の遺産群としてユネスコの世界遺産暫定リストに登録(二〇一〇年十一月登録)するために提出した推薦書、二件目は二〇二二年二月に決定された世界遺産登録推薦書、三件目はユネスコ世界遺産センターから不備があると指摘され二〇二二年九月に提出した正式登録のための暫定版推薦書、四件目が二〇二三年一月に再提出した正式版推薦書である。日本政府は、これらの推薦書を公開していないことについて、ユネスコが各国から提出された世界遺産登録推薦書を世界遺産として登録が決定された後にそのホームページに掲載しているからとしており、また、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第五条第三号に当たるからとしている。同号は、「公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を公開しないとしている。このことは推薦書に、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれのあることが記載されているか、他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあることが記載されていると認めていることになる。日本政府は、どのような佐渡島の金山の世界遺産登録推薦書を提出しているのか公開しなければならない。二〇一七年にユネスコが定めた世界遺産条約履行のための作業指針では、「締約国は、遺産管理者、地方自治体、地域のコミュニティー、NGO、その他の利害関係者、協力者を含む幅広い関係者の参加を得て、暫定リストの作成を行うことが推奨される」とされ、推薦書の記載内容として「歴史と変遷には、当該資産がどのようにして現在の形に至ったのか、又、過去にどのような重大な変化を経てきたのかについて記述すること。ここでは、当該資産が顕著な普遍的価値の基準及び完全性及び/又は真正性の条件を満たすことを示すための論拠として重要な事実について提示すること」とされている。このような推薦書であるならば非公開にする理由はなく、直ちに公開することを求める。日本政府は、佐渡島の金山の世界遺産登録を江戸時代に限ったものとしているが、推薦書にはその資産の歴史と変遷として、当該資産がどのようにして現在の形に至ったのか、又、過去にどのような重大な変化を経てきたのかについて記述することが求められており、江戸時代に限った世界遺産などというものは認められていない。また、二〇二三年二月に韓国国会は、朝鮮半島出身者が強制労働をさせられたことに対する説明が不十分だとして、日本政府に対し佐渡島の金山の世界遺産登録申請書の撤回を求める決議案を可決した。佐渡島の金山の世界遺産登録が、対立ではなく相互理解の下に円満な形で実現することを求める。日本政府が公開と対話を拒否し続け、相手の存在を認めず一方的に強行突破しようとする姿勢を続けるならば、佐渡島の金山の世界遺産登録も実現できなくなる。日本政府は二〇二四年の世界遺産登録を目指しているが、それまでにまだ一年半の時間がある。その期間をいかし、推薦書の公開と対話を進めるべきである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国会として、日本政府に、「佐渡島の金山」の世界遺産登録推薦書の公開をすることを求めること。
二、日本政府に当該世界遺産に関し関係者や関係国との対話を推進することを求めること。

一覧に戻る