請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 812 件名 全ての私立学校に正規の養護教諭を配置し、子供の命と健康が守られる教育条件を求めることに関する請願
要旨  長引く新型コロナ禍の中で社会全体の不安や学校現場の混乱が続いている。日本の子供たちは、国連子どもの権利委員会から度々、過度な競争にさらされ、心身に悪影響を及ぼしていると指摘されている。アナフィラキシーなど重篤なアレルギー症状、偏頭痛、起立性調節障害(OD)、過敏性腸症候群などの健康問題に加えて、コロナ禍でネット・ゲーム・SNS依存、鬱、不登校、自殺、性被害も急激に増加しており、学校だけでは対応が困難で医療・福祉の関係機関とのネットワークで緊急に支援が必要な状況がどんどん増えている。養護教諭は、日々子供たちの健康実態に向き合い対処するだけではなく、その背景や根本原因にも目を向けて学校内外の連携の中核を担う役割を果たしている。養護教諭の配置は、公立では標準定数法により小学校八百五十一人、中・高校八百一人以上の学校に複数配置との基準がある。私立学校においても子供たちの実態は公立と同様であるが、学校の経営状態や学校の設置者(理事会)の考えによって、子供たちの教育条件や教職員の労働条件に大きく差がある。子供と教職員の命と健康が守られるべき学校であるにもかかわらず、私立学校では公立学校で当たり前の四十人以下学級すら実現しておらず過密な実態があり、教職員の雇用も不安定な状態である。養護教諭の配置・学校保健体制・特別支援教育体制も、公立学校に比べて大きく立ち遅れている。戦後、学校教育法が施行され、養護訓導から養護教諭に位置付けられ七十年余り経た現在、私立学校ではいまだに教育職としての養護教諭が配置されていない現状、非正規雇用や一人で中高兼務などの現状が多くある。また、通信制・定時制の学校には、支援を必要とする生徒が多数在籍しているが、養護教諭の配置状況は全日制と比較すると更に深刻である。全ての私立学校の子供の命と健康を守るため、正規雇用の養護教諭の配置と学校保健体制・特別支援教育体制の構築は喫緊の課題である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、全ての私立学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・高等専修学校など、通信制・定時制を含む)に養護教諭を早急に配置すること。
二、私立学校について養護教諭の複数配置に公立学校と同様の基準を設けること。公立の複数配置基準は、「小学校八百五十一人、中学校、高校八百一人、特別支援学校六十一人以上」である。
三、学校教育法附則第七条(小学校、中学校及び中等教育学校には、第三十七条、第四十九条、第六十九条の規定にかかわらず、当分の間、養護教諭を置かないことができる)を削除すること。

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