請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 757 件名 安全・安心で快適な公営住宅制度を求めることに関する請願
要旨  今、公営住宅の現状は、収入分位一(十万四千円)以下の低所得者が集住化する救貧住宅化とともに、高齢化率五〇%を超える限界団地化の様相を呈している。また、外国籍の住民が多く入居する傾向が顕著となり、多文化共生の課題も抱えている。公営住宅のこれらの現状は、公営住宅団地の健全なコミュニティーが阻害され、団地住民の自治活動に大きな困難をもたらしている。健全で安心・快適なコミュニティーの形成は、多様な世代がミックスされて成立することを考えれば、特定の階層が集住化するような住宅政策は問題が多過ぎる。公営住宅のこうした課題を解決するには、公営住宅の入居収入基準を見直し、多様な世代が入居できるよう入居収入基準を引き上げることが必要である。公営住宅の入居収入基準を一九九六年の公営住宅法改正以前の三三%まで引き上げることを求める。過去三年間のコロナ危機において、失業や廃業に伴う住宅喪失者が大量に生まれた。こうした住宅を喪失した人々に厚生労働省は住宅確保給付金で対応したが、その支給要件は限定的で住まいの確保に十分応えられていないのが現状である。また、公営住宅の応募倍率は都市部を中心に高い率を示し、住宅に困窮する国民の要望に十分応えられていない。にもかかわらず公営住宅の戸数は減少傾向にある。今回のようなコロナ危機や災害列島日本では、公営住宅を減らすのではなく、むしろ大量供給し、住宅セーフティーネットの機能と役割を十分果たし、国民の住宅保障要求に応えるべきである。公営住宅のストックは、一九七〇年前後の大量建設時代に供給されたものが多くある。この時代に供給された公営住宅は、建物の老朽化が進み安全性が懸念されると同時に、著しい高齢社会の進展によって在宅介護が日常化しつつある中、バリアフリーを含めてトイレや浴槽などが在宅介護可能な住まいになっているとは到底言えない状況である。こうした課題を根本的に解決する方策は、建物本体の建て替えをすることで可能となり、健康で文化的な人間居住にふさわしい住宅となる。なお、建て替えは、既存入居者の意見や要望を聴き取り、十分に協議をして、その理解と納得の上で推進することを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、公営住宅の入居収入基準を見直し、引き上げること。
二、公営住宅を大量供給し、国民の住宅保障の要求に応えること。
三、公営住宅の建て替えを促進し、健康で文化的な住宅にすること。

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