請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 591 件名 外国人住民基本法と人種差別撤廃基本法の制定に関する請願
要旨  二〇二〇年から続く新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大によって、世界の人々の暮らしが一変した。コロナ感染拡大は、これまで社会的に周縁化され、経済的にも医療アクセスにおいても脆弱(ぜいじゃく)な位置に置かれているマイノリティ(少数者)を直撃している。コロナパンデミック・失業・人種差別の三つの危機が根深く結び付いている事態が日本でも進行している。日本は、既に難民条約や国際人権規約(社会権規約・自由権規約)、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約に加入している。しかし、これらの国際人権法が国内法に十分に反映されていないために、外国人住民は、国際人権法で保障されている生活保護などの社会保障を受ける権利、子供の教育への権利、自らの文化を維持・発展させる権利、住民投票などの地域社会に参画する権利など、多くの権利が制限されている。また、学校でのいじめ、就職差別、入居拒否、入院拒否、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムなど、日常生活においても外国人住民に対する偏見と差別による行為が繰り返されている。取り分け在留資格や住民登録を奪われ、就労することが禁止され、健康保険にも入れない難民申請者や超過滞在者、帰国困難者は窮地に追い込まれている。コロナ危機の中、日本国籍の有無や在留資格の有無に関わりなく、日本列島という同じ舟に乗っている。この日本社会を日本人も外国人も全ての人たちにとって住みやすい社会にすることが必要である。そのためにまず、日本社会に今なお根強く残っている外国人に対する偏見や差別を是正する法制度を整えること、全ての外国人が地域社会を構成する住民として参画できる法制度が求められている。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、国会は、外国人住民に対する総合的な人権保障制度を確立するための特別委員会を設けて「外国人住民公聴会」を各地で開き、外国人法制度の抜本的な改正を行い、包括的な移民政策と人権政策への転換を図ること。
二、国会は、日本国憲法及び国際人権条約に基づいて、「外国人住民基本法」と「人種差別撤廃基本法」を制定すること。

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