請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 546 件名 交通運輸産業における迅速な運賃改定と賃金・労働条件への確実な反映に関する請願
要旨  ハイヤー・タクシー(以下「ハイタク」という。)労働者を始め、鉄軌道、バス、トラックなどで働く交通運輸労働者は、人流・物流を支えるエッセンシャルワーカーである。しかし、急激な物価高騰の中で低賃金にあえぎ、離職者が相次いでおり、このままでは交通崩壊を招く危機にある。特に、歩合給主体で働くハイタク労働者はコロナ禍で極端な賃金低下が生じ、働き盛りの世代を中心に非常に多くの者が職場を去った。労働力不足により夜間・早朝の配車が不可能になるなど、公共交通としての責務を果たしきれない事例も多発している。事業者の多くが赤字経営で多額の債務を抱え、賃上げどころか最低賃金の適正支給すら困難な職場もあるのが実態である。賃金の原資を確保し、物価高騰などのコスト増加を賄うためには、運賃・料金を改定するほか道はない。ただ、公共的性格を持つハイタクや交通運輸事業の運賃の値上げには厳格な規制があり、改定が実現しないケースや改定率が小さく人件費や安全コストに十分な反映ができないケースも存在する。さらに、手続が煩雑で申請準備から認可・許可までに長期間を要し、社会・経済情勢の変化に即応できないという課題もある。何より、せっかく運賃改定が実現しても事業者側が経営難を理由に労働分配率を切り下げる事例も発生しており、最大の目的であるはずの賃金・労働条件の向上が果たされていない。
 ついては、交通運輸産業の運賃改定に関して、次の事項について実現を図られたい。

一、物価高騰などの社会・経済情勢に、迅速に対応できるよう制度を改善すること。
二、少なくとも地域最低賃金額を十分に上回り、他産業との賃金格差を改善できる「固定的な人件費」を基礎として、運賃改定額を算定すること。
三、運賃改定の増収分が、賃金・労働条件に確実に反映されるための実効性ある制度を構築すること。
四、これ以上の離職者を防ぐため、交通運輸労働者に対する直接支援を検討すること。

一覧に戻る