請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 543 件名 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願
要旨  我が国では、慢性腎臓病患者が千三百万人を超えると推計され、国民病の一つとも言われている。現在では早期発見、早期治療が可能になっているが、発症すると長期にわたる治療が必要で、経過を経てステージ四を超え慢性腎不全に至ると腎代替療法が必要となり、人工透析治療又は腎臓移植となる。現在、人工透析患者は三十四万人を超え、かつ毎年増加し続けている。また、腎臓移植希望登録者は一万四千人以上に上っている。国は腎疾患対策事業、糖尿病を含む生活習慣病対策事業などを推進しており、その成果や官民を挙げての啓発活動の効果などがあいまって透析患者の増加率こそ鈍化傾向となっているが、減少するまでに至っていない。加えて早期発見、適切な治療により透析導入の時期は遅くなったが、その結果、透析患者全体の高齢化が顕著となり通院支援、介護の確保、フレイル・サルコペニアの予防・改善などが喫緊の課題となっている。また、大規模地震、異常気象による災害などはいつ起こるか予測はできないが、万が一発生した場合、毎週三回の通院を要する透析患者には通院手段の確保や避難所での生活など大きな不安要素となる。腎臓病の早期発見、十分な保存期治療を求めるとともに、腎代替療法が必要となった場合の十分な説明と同意、そして、いつでも、どこでも、誰でも透析が受けられる社会を維持しつつ、高齢化対策、災害対策など新たな課題にも万全を期した上で、臓器移植についても一層国民の理解を進めること、また、再生医療の研究を進めることを求める。新型コロナウイルス感染症に関して世界を挙げて治療方法の研究が行われ、幾つかは実用化されているが、最大の対抗手段はワクチン接種とされている。今後ますますウィズコロナ(新型コロナウイルスとの共生)が進む中で、基礎疾患保有者は感染した場合に重症化のリスクが高く、常に不安を感じており、治療・入院体制など適切な対応を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、新型コロナウイルス感染症対策において、ウィズコロナが進む中、感染した場合に重症化しやすい慢性腎臓病患者を含め基礎疾患を有する者の治療・入院体制の確保などを更に推進すること。
二、腎臓病の早期発見と重症化予防、透析患者及び腎移植患者を含む慢性腎臓病患者の生活の質の向上のため多職種が連携した取組を推進すること。
三、医療ニーズのある慢性腎臓病患者が、安心して介護保険施設に入所できるよう、医療と介護の連携体制を整備し、人的・財政的措置を検討すること。
四、透析患者の高齢化が顕著に現れ通院困難者が増えている。国と地方自治体が連携し、通院を支援する体制を整備するよう努めること。
五、広域災害発生時における透析患者について、治療施設の支援強化や受入体制の整備を始め生活の場及び通院手段の確保など国と地方自治体が連携し、患者の立場に立った対策の策定に努めること。
六、臓器移植の推進及び再生医療研究の促進に努めること。

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