請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 510 件名 私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願
要旨  現在、日本の私立大学(短期大学を含む)では、大学生全体の約七五%、約二百二十六万人が学んでいる。しかし、二〇二一年度の私立大学の初年度納付金(入学金・授業料・施設設備費)の平均額は過去最高の百三十五万七千八十円となっており、私立大学の学生・父母などは、非常に重い教育費負担を強いられている。また、私立大学生の学費と生活費の合計は、年間百九十二万円を超えている。多くの私立大学生は、学費・生活費を捻出するため日々のアルバイトに追われ、学業に専念できない状況に置かれてきた。その上、コロナ禍でアルバイト収入や家計収入が減少し、退学・休学を余儀なくされる学生が急増している。この間、政府は経済状況の厳しい学生への支援策を実施してきたものの、限られた対象者への支援にとどまっているため、多くの学生の窮状や要望に応えるものにはなっていない。二〇一九年度まで実施されていた授業料減免事業に対する補助も廃止され、多くの中間所得層が減免を受けられなくなった。二〇二〇年四月から始まった大学などの高等教育修学支援制度(給付型奨学金・授業料などの減免)の対象者は、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生に限定されており、授業料・入学金の減免額は最大でも九十六万円となっているため、低所得層も多額の自己負担を強いられている。学生生活を支える奨学金も日本の場合はほとんどが貸与=ローンであり、所得に応じて返済する制度も有利子奨学金は対象外となっている。奨学金を返済できず破産し、保証人となった家族などにも返済義務が及ぶため、同じく破産に追い込まれる事態を引き起こしている。誰もが教育を受ける権利を有しており、家庭の経済的な事情に左右されることなく、教育を受ける機会は均等に保障されなければならない。日本政府は二〇一二年九月に、国際人権規約第十三条第二項の高等教育の漸進的無償化の受入れを決定しており、高等教育の無償化を計画的に進めていく責務を負っている。一九七五年、公教育における私立学校の果たす重要な役割を踏まえて私立学校振興助成法が制定されたとき、参議院の附帯決議は経常的経費の二分の一補助の速やかな実現を求めた。その後、私立大学の経常的経費に占める国からの補助金の割合は一九八〇年度に二九・五%まで達したものの、二〇一五年度では九・九%にまで低下している。このことが、私立大学生の学費負担が重くなっている最大の要因である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、学費負担を軽減するための新たな補助制度を設けること。
二、大学などの修学支援制度(授業料減免・給付型奨学金)の対象範囲と支援額を拡大すること。
三、希望者全員が無利子奨学金を受給できるようにすること。
四、卒業後の奨学金の返済負担が軽減されるよう制度を改善すること。
五、私立大学の経常的経費の二分の一を補助するよう私大助成を大幅に増額すること。

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