請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 238 件名 元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないことを求めることに関する請願
要旨  外国人との婚姻、仕事、勉学などのために海外で暮らす日本人は年々増加している。海外に移住した日本人が当該国での社会保障を得るため、職業上の便宜のため、生活の基盤のある土地で安定した生活を営むためなどの理由でその国の国籍を取得せざるを得ない状況が生まれるが、自ら志望して外国籍を取得すると、現行国籍法の下では日本国籍を自動喪失してしまう。長く海外で暮らしていても心情的には日本人であり、家族のいる日本とのつながりがなくなることはない。日本にとっても、貴重な国際的人材を失うことになる。日本国籍を自動喪失すると、親の介護のために帰国するときでも外国人として入国しなければならない。状況の変化のために生活の場を日本に移す場合もある。外国籍を取得せざるを得なかったために、日本国籍を自動喪失させられた元日本人もますます増えつつあるが、日本国籍を放棄する理由はない。国籍唯一の原則は、一九三〇年の条約に倣ったものであるが、その後、ヨーロッパの状況は大きく変化し、一九九七年には複数国籍の保持を個人の権利として認めることを規定したヨーロッパ国籍条約が採択された。二十世紀半ばまで認められていた国籍唯一の原則は大きく後退し、既に機能していない。また、日本弁護士連合会は、「自ら他の国籍を取得した場合の国籍喪失制度などについても、複数国籍保持を容認する方向での新たな国籍制度を検討すべきである。」との意見書を提出している。多文化と多言語を身に付けた者は、国際化を体現する存在として、日本社会に多様性と豊かさを与えることができる。さらに、このような在外邦人が海外で安定して生活できることは、日本文化の良き理解者をその国で増やすことに貢献する。日本と外国を結ぶ人材を排除するのではなく受け入れていくことは、日本の将来にとってプラスになる。日本国籍保有者が、居住国の国籍を取得しても日本国籍を保持できるよう、国籍法第十一条第一項「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。」及び第二項「外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。」の廃止を求める。また、現行国籍法によりやむなく日本国籍を失った者の国籍回復の可能性も併せて検討することを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国籍法第十一条第一項と第二項を廃止すること。

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