請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 203 件名 設置基準をいかし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願
要旨  全国的に特別支援学校の児童生徒の増加が進み、二〇二一年までの二十二年間で児童生徒が五万七千四百七十一人増で一・六五倍になったのに対して、学校数が百七十二校増で一・一七倍にとどまっており、極めて不十分である。全国で不足している教室は、二〇二一年度の文部科学省調査でも三千七百四十教室もあることが明らかになっている。多くの特別支援学校では普通教室を確保するために、一つの教室をカーテンやつい立てで仕切って二教室として使ったり、調理室や音楽室などの特別教室を普通教室に転用したりしている。仕切った教室はとても狭い上に、隣のクラスの授業の声や音が筒抜けで落ち着いた授業にならない。特別支援学校の子供たちは、長年にわたって劣悪な教育条件の下で様々な我慢を強いられている。このような事態を生み出した原因は特別支援学校の設置基準がないことだとして、父母・保護者・教職員・関係者が特別支援学校にも設置基準を作ることを求めて声を上げ、十年余にわたる運動を続けてきた結果、二〇二一年九月に特別支援学校設置基準が制定された。この設置基準制定の趣旨には、特別支援学校の教育環境を改善すると記されており、国や自治体には特別支援学校の劣悪な教育条件を改善する責務がある。しかし、設置基準が制定された下でも教育条件の悪化に歯止めが掛かっていない。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、設置基準制定の目的である、特別支援学校の教室不足解消と教育環境の改善を直ちに実現するための学校新設が進むよう、以下のことを行うこと。
 1 自治体が学校新設を促進するために、特別支援学校設置に関わる国庫補助率を早急に三分の二に引き上げるなどの予算措置をすること。
 2 各自治体が、特別支援学校の教室不足解消のための「集中取組計画」の策定を確実に行い、着実に実行できるよう支援すること。
二、制定された「特別支援学校設置基準」をより実効性あるものとするために、以下の内容を規定した「設置基準」になるよう早急に見直しを図ること。
 1 在籍する児童・生徒数の上限を一校につき百五十人以下とすること。
 2 通学時間の上限について、家庭から学校までを一時間以内と規定すること。
 3 必要な特別教室の種類や数を明記すること。
 4 既存校の基準適用を「努力義務」にせず、設置基準への適用期限を明示すること。

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