請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 48 件名 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律の再検討に関する請願
要旨  平成二十二年四月施行の刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律は、殺人などの凶悪、重大事件の時効の取扱いについて検討されたものであるが、被害者が殺害された事件だけに注目が置かれて時効が撤廃、延長され、重篤な障害が残った被害者がいる事件は、凶悪、重大事件であっても傷害罪などの軽微とされる罪と混同され、排除されてしまい、対象とならなかった。凶悪、重大な未解決事案などについて、時効撤廃などをもって長く捜査に臨むことができる環境を整えるため、再度、刑法及び刑事訴訟法の十分な検討を行い、早期に法律を再改正することを強く求める。令和四年七月、安倍元総理が銃撃されるという事件が起こった。日本国内には多くの違法な銃器が存在し、それが今後も犯罪に使用される危険性がある。また、5G、その後も続く通信機能の進化、ネット通信やそれに付随した技術の更なる発展により、現在その利便性が際立っているが、その機能によって犯罪を遠隔で行うことが可能になり、あらゆる面で犯罪に悪用されるという危険性も考えられる。そういった複雑な社会の中で、誰もが犯罪の被害者になる可能性がある。しかし、死亡した被害者がいない事件は、どれだけ多数の重篤な障害が残る被害者がいる凶悪、重大な殺人未遂事件であっても、現行法では時効があることになる。被疑者は二十五年、身勝手に逃げ続けただけでその逃走行為は法により尊重され、犯人の逃げ得になるという状況が現存している。日本国憲法でも、世界人権宣言でも、人は法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有するとされている。現状では、未解決事件の被疑者は逃走という身勝手な行為の状態が尊重され、逃げ切って時効になると罪に問われることはなくなり、自由を手にすることになる。一方、重篤な障害が残った被害者は、時効によって自由が戻ってくることはなく、重篤な障害の状態が良くなることもなく、更に犯人だけが自由になったという屈辱的二次被害を加えられ、ずっと苦しめられ続けるのである。この点において、犯罪被害者の人権は被疑者の人権と同等とは言えない。平成二十二年の法改正から十年以上たっている。当時、附帯決議で後の検討の必要性があるとされていたが、附則にそのことを加えなかったため、今まで一度も見直しや検討などが行われず、犯罪被害者が法の保護を受けられなかったなど、様々なゆがみが生じている。一刻も早い現状の改善が必要である。安倍元総理の銃撃事件をきっかけとして、旧統一教会の問題が明らかになり、被害に苦しむ人たちを救済する法律がつくられたが、犯罪行為によって法律が変わる社会ではなく、請願という憲法でも保障されている方法によって救済される社会でなければならない。事件によって苦しんでいる被害者が公訴時効によって二次被害で苦しむことのないよう、一過性ではない継続的な検討と見直しが行われ、それが法律の再度の改正につながることを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、殺人などの凶悪、重大事件により、被害者が重篤な障害を負った未解決未遂事件で、公訴時効の撤廃などを含めた検討と見直しを行い、法の再改正を行うこと。
二、未解決事件の被害者のために公訴時効はどうあるべきなのか、犯罪被害者の真の救済のための、一過性ではない継続的な施策の検討と、必要に応じて見直しを行うこと。

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