請願

 

第211回国会 請願の要旨

新件番号 33 件名 介護保険制度の改善を求めることに関する請願
要旨  介護保険は、施行から二十二年が経過した。しかし、必要なサービスを利用できない実態が広がっており、家族介護を理由とした介護離職も高止まりである。介護事業所では、深刻な人手不足と低い介護報酬の下での経営難が続いており、コロナ禍はこうした事態を一層加速させている。政府は、二〇二三年の通常国会に向けて介護保険見直しの検討を進めている。利用料二割・三割負担の対象者拡大、要介護一、二のサービス削減、ケアプラン作成への自己負担導入など負担増と給付削減の提案がめじろ押しである。利用者と事業者双方に更なる矛盾、困難を押し付けるものであり、認めることはできない。二〇二二年二月から新たな介護従事者の処遇改善が開始された。しかし、全産業平均給与との差を埋めるには程遠い水準であり、ケアマネジャー、訪問看護師、福祉用具相談員などが対象から外されているなど職場に混乱と分断を持ち込む内容である。同年十月からは介護報酬に組み込まれ、新たな利用料負担が発生する。また、政府はテクノロジー機器の導入と引換えに、職員の配置基準を大幅に引き下げようとしている。人手不足を解消し、行き届いた介護を実現するためには、介護報酬を引き上げて処遇を改善し、介護従事者を大幅に増やして一人夜勤をなくし複数にすること、人員配置基準の引上げこそ必要である。コロナ感染対策強化として検査・ワクチン体制の整備、在宅・施設での陽性者・クラスター対応への支援、事業所に対する公費による減収補填などが求められる。利用者、介護事業所・従事者が直面している困難の早急な打開と介護保険制度の立て直しが急務である。経済的な心配をせず、必要なときに必要なサービスを利用、提供できる制度への転換を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、介護保険の利用に新たな困難をもたらす利用料の引上げ、要介護一、二の生活援助などの保険外し、ケアプランの有料化、貸与の福祉用具を購入に変更するなどの見直しを行わないこと。
二、全額公費により、全ての介護従事者の給与を全産業平均水準まで早急に引き上げること。介護従事者を大幅に増やし、一人夜勤の解消、人員配置基準の引上げを行うこと。
三、利用者が安心して介護を受けることができ、介護事業所・従事者が不安なく介護を提供できるよう、新型コロナウイルス感染症対策を強化すること。
四、介護保険料、利用料、食費・居住費などの負担軽減、介護報酬の改善など、介護保険制度の抜本的な見直しを行うこと。介護保険財政における国庫負担の割合を大幅に引き上げること。

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