新件番号 | 2580 | 件名 | 再審法の改正に関する請願 |
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要旨 | 罪を犯していない人が誤った捜査・裁判によって自由を奪われ、仕事や家庭を失い、築き上げてきた人生の全て、甚だしい場合は死刑によって生命さえ奪われる冤罪(えんざい)は、国家による最大の人権侵害であり、速やかに救済されなければならない。しかし、冤罪事件は後を絶たず、その救済に気の遠くなるような年月が掛かるという実態がある。二〇〇〇年代に入り、足利事件に始まり、東電OL殺人事件、布川事件、東住吉冤罪事件、松橋事件、湖東記念病院人工呼吸器事件などの重大事件で再審無罪判決が相次いで出された。一方、袴田事件や大崎事件のようにようやく勝ち取った再審開始決定が、検察官の不服申立てによって取り消される事件も少なくなく、名張毒ぶどう酒事件に至っては裁判の長期化によって無念の獄死を強いられた。このような再審の状況を踏まえて、日本弁護士連合会は、第六十二回人権擁護大会(二〇一九年十月)において刑事訴訟法第四編再審(以下「再審法」という。)改正を求める決議を全員一致で採択した。また、国民の中からも冤罪犠牲者を早期に救済するために再審法の改正を求める市民運動が起こり、今、地方議会でも再審制度の見直しを求める意見書などが採択され、新聞各社も社説で再審法改正の必要性を主張するなど、世論が高まっている。冤罪被害者の一刻も早い救済のために、速やかに再審法を改正するよう求める。 ついては、次の事項について実現を図られたい。 一、再審のための全ての証拠を開示すること。 これまで再審無罪となった冤罪事件のほとんど全てにおいて、検察や警察が無罪方向の証拠を公判に提出せず、隠し続けていたことが明らかになっている。こうした証拠隠しこそ、誤判の最大要因の一つである。被告人に有利な証拠も不利な証拠も明らかにしなければ、事実を正確に認定することはできない。冤罪をなくすためには、証拠を全て開示させる制度が欠かせないことは明らかである。新証拠が求められる再審事件こそ、捜査機関手持ちの全ての証拠の開示が必要である。 二、再審開始決定に対する検察の不服申立てを禁止すること。 再審開始決定に対して検察が上訴して取消しを申し立てるのは、いたずらに裁判を長引かせ、無実の人を苦しめることにしかなっていない。有罪・無罪は、再審請求審ではなく、その後の再審公判で判断される。仮に検察に再審開始決定に対する不服があったとしても、この再審公判で主張できる。したがって再審開始決定自体について、検察に不服申立てを認める必要はない。検察の再審開始決定に対する不服申立ては禁止すべきである。 三、再審における手続を整備すること。 現行法では、再審請求審をどのような手続で行うのか規定がないに等しく、再審請求人の権利がほとんど保障されていない。裁判所は、再審請求審で弁護人との進行協議に応じないまま事件を放置したり、審理が公開されることもなく証拠調べも行わずにいきなり再審請求を棄却する実態がある。したがって、再審の手続を整備し、ルールを作る必要がある。 |