請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 2479 件名 核兵器禁止条約第一回締約国会議へのオブザーバー参加に関する請願
要旨  ウクライナに軍事侵攻したロシアのプーチン大統領が核兵器による威嚇を行い、人類はかつてないほどの核の脅威にさらされている。この世界的な危機を受け、日本国内ではアメリカと核兵器を共同運用する核共有政策や、国是である非核三原則の見直しを議論すべきだという声が上がった。国際社会がこれまで積み上げてきた核廃絶の歩みに逆行する動きを目の当たりにしている。核兵器禁止条約が発効して一年が経過し、締約国は六十か国に達した。しかし、日本はこの条約を署名も批准もしておらず、日本に核兵器禁止条約に参加してほしいという、広島・長崎の被爆者や市民の願いがかなう見通しは立っていない。二〇二二年六月に開催予定の核兵器禁止条約第一回締約国会議では、条約が発効してから初めて締約国が一堂に会し、条約の今後の運用について話し合うことになる。未批准国もオブザーバーとして参加する権利があり、これまでにスイス、スウェーデン、フィンランド、マーシャル諸島、ノルウェー、ドイツなどがその意向を示した。条約に参加していない国やアメリカの核の傘の下にあるNATO諸国が核廃絶の議論において対話の姿勢を見せるのは非常に頼もしいことであり、更に多くの国々がこの動きに続くことが期待される。核兵器禁止条約が世界の核不拡散・軍縮の基盤である核不拡散条約(NPT)との良い補完関係をつくり、具体的な核廃絶の道筋をつくる機会となる。日本政府にとってもオブザーバー参加は、世界に核廃絶という目的を共有しているという姿勢を示す重要な機会である。また、日本と同様に安全保障上の理由で批准に踏み込めない国は多くある。日本のオブザーバー参加は、そうした国々を巻き込み、世界的な核軍縮の新たな糸口を見付けることにつながる。締約国会議で批准国の声に耳を傾けた上で、条約に求めることやNPT体制強化のために必要なプロセスなど日本だからこそ発せられるメッセージを届け、核保有国と非核保有国の橋渡しとしての役割を果たすべきである。核には核をという論理は、終わりのない核の拡散と核戦争による世界の破滅を招く。岸田文雄首相がロシアに「核の威嚇も使用もあってはならない」(二〇二二年三月)と発言したとおり、核戦争の脅威が高まる今こそ、核廃絶に向けた議論を前に進めることを求める。
 ついては、核廃絶の議論において日本政府が主導的な役割を果たすため、次の事項について実現を図られたい。

一、日本政府は核兵器禁止条約第一回締約国会議へのオブザーバー参加をすること。

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