請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 2000 件名 ウイルス性の肝がん・重度肝硬変治療研究事業における対象患者の一層の救済に関する請願
要旨  平成二十一年に成立した肝炎対策基本法の前文に「B型肝炎及びC型肝炎に係るウイルスへの感染については、国の責めに帰すべき事由によりもたらされ、又はその原因が解明されていなかったことによりもたらされたものがある」と記載されているように、多くの感染者は過去の血液行政や医療行政の不具合により感染し、発症している。ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者への医療費助成が平成三十年十二月から、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業(以下「治療研究促進事業」という。)として開始された。対象者は、過去一年間に三月入院・高額療養費で世帯年収約三百七十万円以下の場合、四月目から自己負担額一万円となる。制度開始後二年余り、見込数月七千二百人に対して月平均約六十人という一%未満の実績数が継続し、条件の見直しのために実態調査が行われた。その結果、令和三年四月より条件が緩和され、対象者は過去一年間に二月入院・通院・高額療養費で世帯年収約三百七十万円以下の場合、三月目から自己負担額一万円となった。しかし、条件がこの病気に苦しむ患者の実態に合っていないため、今後周知が進んだとしても見込数に対して実績数が一~二割程度に増加するのか疑問である。ウイルス性の肝がん・重度肝硬変の患者は、一年間に二~四度入退院を繰り返す者もいるが、多くの場合、年に一度程度を何年も繰り返している。この治療研究促進事業の趣旨は、B型・C型肝炎ウイルスに起因する肝がん・重度肝硬変患者の特徴(肝がんは再発率が高く、長期的に治療を繰り返すことが多く、重度肝硬変では、肝性脳症、食道・胃静脈瘤、特発性細菌性腹膜炎などの合併症の治療を繰り返す。)を踏まえ、患者の医療費の負担の軽減を図りつつ、肝がん・重度肝硬変治療に係るガイドラインの作成など、肝がん・重度肝硬変の治療研究の促進である。新しい制度では、過去一年間に三月の入院治療(高額療養費)が条件であるが、前制度の四月の入院治療と同様に、対象者の多くは予後の短い患者に限られる。また、分子標的薬などの通院治療の適用まで条件を拡大したが、大変厳しい状態の患者が対象であることに違いはない。治療研究促進事業の目的は、予後が厳しい重度肝硬変の患者と肝がんの特徴である長期的に再発を繰り返す患者の救済であるが、現在の条件では、最も重症で予後が厳しく、短期的に通院・入院を繰り返す患者を対象とした制度になっており、長期的に発がんを繰り返す多くの患者は制度から外されている。治療研究促進事業の目的に合うよう、早急に条件を一月目の入院・通院・高額療養費からとして、ウイルス性の肝がん患者と重度肝硬変患者を更に幅広く救済することを求める。年に一度程度の入院患者は人数が多くても、月当たりの入院人数は多くない。患者はもう待てない。また、収入に対する自己負担限度額(月額)を抗ウイルス治療の医療費助成制度と同様に、世帯全員の市町村民税(所得割)二十三万五千円以上は二万円、それ未満は一万円とすることを求める。以上の条件で、実績が見込数や予算額の範囲に入ると考えられる。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、ウイルス性の肝がん・重度肝硬変治療研究事業における新制度の実態を調査して、早急に肝がん・重度肝硬変患者を更に幅広く救済するよう検討し対処すること。

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