請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 1094 件名 犯罪被害者支援制度の確立を求めることに関する請願
要旨  犯罪被害者は不意に尊厳ある生命を奪われ、あるいは心身に重大な傷を負わされ、被害者・家族(以下「被害者等」という。)は生涯その苦しみを背負って生きていかなければならない。しかし、我が国において被害者等の経済的被害を含む生活を十分に補償する制度はないと言わざるを得ない。裁判によって損害賠償命令などの債務名義を得ても、加害者のほとんどが無資力であり、財産があっても隠し、偽りごまかして(詐害行為)支払を逃れる者が多く、非力な被害者等は泣き寝入りを余儀なくさせられ、経済的・精神的な苦しみから逃れることができない。諸外国、特に欧州先進国では、一九八五年の国連被害者人権宣言をいかした被害者等への補償と支援の施策が行われている。我が国も国連被害者人権宣言を認め、犯罪被害者等基本法を制定している。また、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律の第一条では、不慮の死を遂げた者の遺族又は重度障害が残った者の被害を国の力で早期に軽減し、再び平穏な生活を営むことができるよう支援するとしている。世界で第三位の経済力を持つ我が国の法をいかし、犯罪被害者が権利・利益の主体として安心・安全な生活ができる施策が講じられるよう求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、現行の「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」を改め、ひき逃げや無保険車による交通事故被害者に対する「自賠責保険政府保障事業(国土交通省)」と同等の補償をする制度を実施すること。
二、国は「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」第一条でうたった犯罪被害者支援を的確に実行し「昭和五十五年国家公安委員会規則第六号」などの給付金の不支給・減額の規定を廃止又は抜本的に改正すること。
三、民事裁判で損害賠償判決を得ても、多くの被害者等が賠償を得ることができないのが実態である。「国による損害賠償の立替払と、加害者への求償」など実効性のある補償制度を設けること。
四、国の責任において、犯罪被害者支援員の制度を創設し、民事判決確定後も権限を持った公的職員が、犯罪被害者等給付金申請、加害者への求償手続など総合的な被害者支援を執行し、長期的に「犯罪被害者等基本法」で定められた被害者等の支援を実施すること。
五、住民に最も近い地方公共団体である市区町村に対し、犯罪被害者等基本法第五条の責務が果たされるよう国が積極的に助言・指導すること。

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