請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 1036 件名 学童保育(放課後児童健全育成事業)の拡充を求めることに関する請願
要旨  学童保育(放課後児童クラブ)は、一九九七年に児童福祉法に位置付けられ、二〇一五年には放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(厚生労働省令。以下「省令基準」という。)と放課後児童クラブ運営指針が適用され、国の予算も拡充されつつある。二〇二〇年三月、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための学校の臨時休業中も、学童保育は、国から原則開所を保育所と同様に求められ、学童保育を開所したことで、保護者の就労と社会の機能を支えてきた。しかし、省令基準に示された施設の広さ(児童一人につきおおむね一・六五平方メートル以上)や子供集団の人数規模(おおむね四十人以下)は、全ての学童保育では実現できていない。三密など感染リスクを避けるために、保護者の判断や市町村からの利用自粛の要請で、子供を心配しながら留守番させた保護者や学童保育に行きたいのに我慢して自宅などで過ごしていた子供たちがいた。学童保育では、その日出席している子供だけでなく、欠席した子供、欠席しがちになっている子供も含めて、生活の連続性を考えて日々の生活づくりを行っている。今回のコロナ禍で、指導員は子供や家庭とも様々な方法で関わってきた。地域によっては、分散登校の時期も含めると四か月近くもの間、一日保育が続いた所もある。感染拡大防止に努めながら子供たちの安全を確保することと併せて、子供たちの情緒の安定を図ること、生活環境の変化に伴う家庭の養育基盤の弱まりや虐待のおそれがある場合の対応なども行ってきた。コロナ禍にあって、孤独になったり孤立しがちな子供・保護者をつなげる役割を学童保育が担っている。自治体や学童保育現場によって実施状況は様々であり、大きな格差がある。今般、公立小学校の学級人数の上限を三十五人に引き下げる法改正が行われた。学童保育も、指導員の資格と配置基準、広さや子供集団の人数規模について基準が遵守されて全国一定水準の質が保たれることが必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、第百九十八回国会で採択された「学童保育(放課後児童健全育成事業)を拡充し、子育て支援の充実を求める請願」を国の責任で具体化すること。
二、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、さらには新興感染症にも対応していくためにも、「指導員の資格」、「配置基準」、「広さ」、「子供集団の人数規模」を早急に改善すること。上記の趣旨を踏まえて、「第九次地方分権一括法」の附則による「施行後三年」の見直しの際には、学童保育の基準を拡充すること。

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