請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 798 件名 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願
要旨  我が国では、腎臓病患者が千三百万人を超えると推計され、国民病の一つとも言われている。現在では早期発見、早期治療が可能になっているが、発症すると長期にわたる治療が必要で、経緯を経てステージ四を超え慢性腎不全に至ると腎代替療法が必要となり、人工透析治療か腎臓移植となる。現在、人工透析患者は三十四万人を超え、かつ毎年増加し続けている。また、移植希望登録者は一万三千人以上に上っている。国は腎疾患対策事業、糖尿病を含む生活習慣病対策事業などを実施しており、その成果や官民を挙げての啓発活動の効果などがあいまって透析患者の増加率こそ鈍化傾向となっているが、減少するまでには至っていない。加えて早期発見、適切な治療により透析導入の時期は遅くなったが、その結果、患者全体の高齢化が顕著となり通院支援の必要性、介護の確保などが喫緊の課題となっている。また、大規模地震、異常気象による災害などはいつ起こるか予測できないが、万が一発生した場合、年間百六十回近くの通院を要する透析患者には大きな不安要素となる。腎臓病の早期発見、十分な保存期治療を求めるとともに、腎代替療法が必要となった場合の十分な説明と同意、そして、いつでも、どこでも、誰でも透析が受けられる社会を維持しつつ、高齢化対策、災害対策など新たな課題にも万全を期した上で、臓器移植についても一層国民の理解を進めることを求める。新型コロナウイルス感染症に関して世界を挙げて治療方法の研究が行われ、幾つかは実用化されているが、最大の対抗手段はワクチン接種とされている。しかし、ワクチン接種効果の有効期間、再接種の必要性などについてエビデンスがないという中で、基礎疾患保有者は不安を感じており、適切な対応を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、新型コロナウイルス感染症対策において、腎臓病患者を含め基礎疾患を有する者に対する感染防止策の強化はもちろんのこと、ワクチン接種、有効な治療薬の開発及び治療体制の確保などについてもしっかりと推進すること。
二、腎臓病の早期発見と重症化予防に向け、総合的対策とともに多職種が連携した取組についても推進すること。
三、医療ニーズのある腎臓病患者の利用者であっても、安心して介護保険施設に入所できるよう、人的・財政的措置を検討すること。
四、高齢人工透析患者の増加により通院困難者が増えている。国と地方自治体が連携し、通院を保障する体制を整備するよう努めること。
五、広域災害発生時における人工透析患者について、治療施設の確保を始め生活の場及び通院手段の確保など国と地方自治体が連携し、患者目線での対策の策定をすること。
六、改正臓器移植法による腎移植の推進及び再生医療の研究が進むよう努めること。

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