請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 672 件名 私立大学生の学費負担の軽減のための私大助成の大幅な増額に関する請願
要旨  現在、日本の私立大学(短期大学を含む)では、大学生全体の約七五%、約二百二十六万人が学んでいる。しかし、二〇一九年度の私立大学の初年度納付金(入学金・授業料・施設設備費)の平均額は過去最高の百三十四万七百二十三円となっており、私立大学の学生・父母などは、非常に重い教育費負担を強いられている。私立大学入学から卒業までに掛かる学費と生活費の合計は、文系でも自宅外生で一人当たり一千万円を超える。従来、多くの私立大学生は、学費や生活費を捻出するため日々のアルバイトに追われ、学業に専念できない状況に置かれてきたが、コロナ禍によるアルバイトの激減や家計の収入減少などで経済的な危機に瀕しており、学生が退学や休学を考えざるを得ない非常に厳しい状況にある。この間政府は、学生・父母などからの学費負担軽減を求める切実な声に押され、学生支援緊急給付金を支給した。しかし、申請条件が厳しくその対象も限定的で、学生の窮状や要望に応えるものではなかった。また、二〇二〇年度から始まった大学などの高等教育修学支援制度(授業料などの減免・給付型奨学金)の対象者は、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生に限定されており、授業料・入学金の減免額は最大でも九十六万円となっているため、低所得層も多額の自己負担を強いられている。さらに、その新制度創設を理由に、私立大学に対する授業料減免補助が廃止され、中間所得層は減免を受けられなくなった。日本の奨学金はほとんどが貸与=ローンであり、所得に応じて返済する制度があるものの、多額の奨学金が返済できず奨学金破産に陥る深刻な事態を引き起こしている。誰もが教育を受ける権利を有しており、家庭の経済的な事情に左右されることなく、教育を受ける機会は均等に保障されなければならない。また、日本政府は二〇一二年九月に、国際人権規約第十三条第二項の高等教育の漸進的無償化の受入れを決定しており、高等教育の無償化を計画的に進めていく責務を負っている。一九七五年、公教育における私立学校の果たす重要な役割を踏まえて私立学校振興助成法が制定されたとき、参議院の附帯決議は経常的経費の二分の一補助の速やかな実現を求めた。しかし、私立大学の経常的経費に占める国からの補助金の割合は一九八〇年度に二九・五%まで達したものの、二〇一五年度では九・九%にまで低下している。このことが、私立大学生の学費負担が非常に重い最大の要因である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、授業料無償化が進む高校と同様に、私立大学生への学費補助制度を創設すること。
二、大学などの修学支援制度(授業料減免・給付型奨学金)の厳し過ぎる年収基準を大幅に引き上げること。
三、希望者全員が無利子奨学金を受給できるようにすること。
四、卒業後の奨学金の返済負担が軽減されるよう制度を改善すること。
五、私立大学の経常的経費の二分の一を補助するよう私大助成を大幅に増額すること。

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