請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 593 件名 国立病院の機能強化に関する請願
要旨  新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という。)の感染拡大は、国民の生命と生活に深刻な影響をもたらした。新型コロナに感染しても、受け入れる病院・病床、スタッフの不足などの医療体制の逼迫(ひっぱく)した状態が続き、療養施設や自宅での待機を余儀なくされ、入院できぬまま亡くなるという痛ましい事例も相次いでいる。正に医療崩壊の危機に直面する事態となった。さらに、コロナ禍において受診や入院が激減し、多くの医療機関において経営が圧迫され危機的状況に陥っている。医療従事者の心身の疲弊も深刻化し、使命感だけで働き続けることは困難となりつつある。これまで国立病院・国立高度専門医療研究センター(以下「国立病院」という。)では、がん・救急医療などの地域医療、筋ジストロフィー・重症心身障害などの政策医療などと併せて、新興感染症や大規模災害など国の危機管理に際して求められる医療などを提供し、地域医療を守る役割を担ってきている。新型コロナによる未曽有の医療危機に直面し、全ての国民の命と生活を守るためには、平時からの国立病院の機能強化は必至である。しかし、国立病院の診療事業に対する国からの補助金(運営費交付金)は、現在は全く支出されていない。そのため、採算の取れない結核病床などは大きく削減され、医師、看護師などの医療スタッフも、ぎりぎりの人数しか配置されておらず、新型コロナ対応においても、看護師の応援体制や派遣が必要となった。このような状況では、患者・国民の命が更なる危険にさらされることも否めない。医療崩壊を防ぎ、国民の命を守るための危機管理は国の重要な責務である。新興・再興感染症の拡大、大規模災害などの緊急事態が発生した場合でも国民と地域医療を守る万全の体制を取るため、今こそ国立病院の機能を強化させるときである。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、コロナなどの感染症や大規模災害から国民の命を守るため、国立病院を機能強化すること。
 1 国の責任において、国立病院に「新興・再興感染症対策」に十分に対応できる専門病床を設置し、人工呼吸器やECMO(人工心肺装置)などの医療機器の整備を進めること。
 2 「大規模災害」などの発生時においても、患者・国民に万全な医療が提供できるよう国立病院の機能強化を図ること。
二、国立病院の機能強化を図るために、医師、看護師を始め、全ての職員を増員すること。
三、国立病院の機能強化に必要な財源は、国の責任で確保すること。

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