請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 336 件名 特別支援学校の設置基準策定に関する請願
要旨  全国的に特別支援学校の児童・生徒数の増加が進み、この二十年間に五万五千六百二十人の増加となっている。在籍者が二十年前の約一・六三倍になっているにもかかわらず、学校数の増加は百五十八校(約一・一六倍)にとどまっており、極めて不十分である。全国で不足している教室は、二〇一九年の文部科学省調査でも依然として三千教室以上もあることが明らかである。また、文部科学省の公立学校施設実態調査報告(二〇一九年度)では、教育活動に必要とされる面積に対し実際の特別支援学校の保有面積が三分の二程度である実態が明らかにされ、ほぼ一〇〇%充足している小中学校などとの違いが歴然としている。普通教室確保のために、一つの教室をカーテンやつい立てで仕切り二教室として使ったり、図書室や音楽室などの特別教室を普通教室に転用したりしている。仕切った教室はとても狭い上に、隣のクラスの先生や子供の声が筒抜けになり、落ち着いた授業にはならない。特別教室がほとんどない学校では、音楽も、図工・美術も、作業学習も全て普通教室で行わなければならない。体育館を使用できる回数が少なく、廊下を走ったり、教室や玄関ホールで体操をしたりする学校も多数ある。トイレが足りず休み時間に行列ができる、給食が必要数作れない、スクールバスでの通学時間が一時間を超える等、児童・生徒数の急増に教育条件の整備が全く追い付かない現在の状況は、子供たちの学ぶ権利を奪うばかりか、命と健康をも脅かしており、もはや人権侵害と言える。こういった事態を解消するためには、児童生徒数などの上限や必要な特別教室、通学時間の規定等を含んだ設置基準の策定が必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、学校教育法にのっとって、次の内容を含む特別支援学校の設置基準を早急に策定すること。
 1 設置基準の冒頭に策定の目的として「教育環境を改善するため」と明記すること。
 2 児童生徒数が百五十人以下を適正規模とすること。
 3 必要な特別教室や施設設備を、障害種ごとに具体的に明記すること。
 4 通学時間を家から学校まで一時間以内とすること。
 5 既存校の基準の適用を「努力義務」にとどめず、期限を示し、全ての学校が適用するよう計画的に改善すること。
二、全国の教室不足調査を毎年実施すること。現状を正確に把握するものとなるよう、報告基準を明確にすること。
三、自治体が学校新設、及び既存校の環境整備に取り組みやすくするため、国の補助率を三分の二に引き上げるなどの予算措置をすること。

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