請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 267 件名 所得税法第五十六条の廃止を求めることに関する請願
要旨  働き分の報酬が認められ、個人としての人格が尊重されることは、当然の権利である。一方、所得税法第五十六条は、「事業主の配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払は必要経費に算入しない」(条文趣旨)により、家族従業者の働き分(自家労賃)を必要経費として認めていない。これにより、家族の働き分は事業主の所得から配偶者が年間八十六万円、家族が同五十万円を控除されるにとどまり、その社会的・経済的自立を妨げ、後継者不足に拍車を掛けている。家族を家長の所有物のように扱った戦前の家父長制の考えを引き継ぐ税制を、これ以上続けることは許されない。政府は「青色申告にすれば給料を経費にできる」(所得税法第五十七条)と言うが、働いている実態があり商売に応じた記帳を行っているにもかかわらず、申告方法の選択によって納税者を差別しているのが実情である。青色申告は、税務署長が条件付きで一部経費を認める制度で、幾つもの義務が課される。こうした認定がなければ、個人事業者は家族の働き分が認められないという税制には、そもそも道理がない。今、五百五十を超す自治体が所得税法第五十六条の廃止を求める意見書を国に上げている。男女平等を求める国内外の女性運動との共同・連帯で、国連女性差別撤廃委員会が所得税法の見直しを日本政府に勧告し、日本弁護士連合会(日弁連)や税理士団体からも意見書が出されるなど、運動が前進している。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、所得税法第五十六条を廃止すること。

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