請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 177 件名 中小零細・個人事業者の社会保険料負担の軽減と制度拡充に関する請願
要旨  二〇一六年十月からの従業員五百一人以上の民間企業等を対象とした義務的な適用拡大により、被用者保険には短時間労働者が新たに加入している。加入対象者は、制度施行後一貫して増加を続けているが、この背景としては、対象拡大並びに適正な単価未払いや非正規雇用・短時間労働者の増加がある。第二百一回通常国会で成立した年金制度改正法(二〇二〇年六月五日公布)は、今後の加入対象となる事業所規模の要件を二〇二二年十月までに百人超、更に五十人超、要件撤廃へと拡大する内容となっている。一方で、強制保険である社会保険は、赤字事業者であっても保険料を負担せざるを得ず、経営や正規雇用労働者を拡大する障壁となり、大企業と中小零細企業の賃金格差にもつながっている。大企業の内部留保は増加し続け、総額で五百兆円を超えているが、社会保険料の負担率は事業規模や資本金などによる違いはなく一律に設定され、売上総利益に占める率は大企業九・九%、中小企業一四・〇%となっている。新型コロナは、日本経済や社会構造に大きな影響を及ぼした。特に、医療や福祉、保育、生活基盤やライフラインを支える地場事業所は、営業や雇用を維持することが困難になっている。雇用のおおむねを占める中小零細事業者と地場の個人事業者を支えることが地域経済の活性化と安定につながる。利益を蓄積し続ける大企業と収益の低い中小零細事業者を同一の保険料率とし続けることは、深刻な状況の更なる拡大を引き起こす。
 ついては、中小零細・個人事業者の社会保険料負担軽減と制度拡充を求め、次の措置を採られたい。

一、企業規模や資本金、産業にかかわらず一律としている社会保険料(厚生年金、健康保険、介護保険)負担を見直し、中小零細・個人事業者の負担を軽減すること。
二、社会保険への国庫負担を引き上げること。当面は、全国健康保険協会(協会けんぽ)に対する国庫補助率を一六・四%(現行)から二〇%(本則)に引き上げること。
三、社会保険料は応能負担の原則に基づく制度設計とすること。
四、今般の「新型コロナ」に対応した国民健康保険の傷病手当金の制度実施を更に実効性を高めるため被用者以外も含めた対象を拡大し、必要な予算措置を図ること。

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