請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 145 件名 教育の無償化を目指して全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願
要旨  我が国の未来を担う子供たち一人一人に確かな学力を保障し、希望を育む豊かな教育を実現することは、国民の切実な願いである。昨年来の新型コロナウイルス感染症の拡大は、子供たち一人一人と向き合うことや人と人との関わりの大切さを改めて浮き彫りにした。コロナ禍の中で学びを保障するためには、少人数学級の推進、子供に直接向き合う教員を増員することが急務である。昨年度末、約四十年ぶりに義務標準法が改正され、三十五人学級が段階的に小学校で実現することになった。感染症対策だけでなく、様々な課題を抱える子供たちの増加に柔軟に対応するためにも、小学校・中学校はもちろん、高校までの三十人学級の早期実現が強く望まれる。教職員の増員、障害児教育の更なる環境整備に向け、国として更なる学習環境の充実を目指すべきである。また、就学支援金等は、学費滞納による退学率の減少など一定の成果を上げている。しかし、所得に応じた助成であることから、教室内で新たな格差を生み、所得制限に該当するかどうかが子供の未来を左右するケースも見られる。我が国の子供の貧困率は一三・五%(二〇一八年)に上り、約七人に一人が貧困状態となっている。次代の担い手である全ての子供の学びを社会全体で支え、教育の機会均等を保障する教育費完全無償化が求められている。児童・生徒が生き生きと学び、豊かに成長できるよう、教育条件が大きく改善されることを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、教育予算を対GDP比でOECD諸国並みに増額し、教育費完全無償化に向けて保護者負担の軽減を進めること。奨学のための給付金を改善し、誰でも利用できる給付型奨学金を制度として確立すること。
二、公立高校授業料無償化を復活すること。また高等学校等就学支援金は、年収五百九十万円未満世帯への支給額である「私立高校の平均授業料を勘案した水準」を前年度の私立高校授業料全国平均額にするほか、多子世帯の所得制限を撤廃するなど、制度を拡充すること。
三、標準法を改正し、国の責任で、小・中・高の全学年で三十人学級を早期に実現するとともに、複式学級を解消し、教職員を大幅に増員すること。
四、私立学校において「少人数学級の実施」「教職員増」が可能となるよう、経常費助成補助を増額すること。
五、障害児学校に実効ある設置基準を策定し、既存校も含めた教育条件整備を進めること。また、障害児学級の定員を引き下げること。
六、義務教育費国庫負担制度を維持・拡充するとともに、教科書無償制度を堅持すること。
七、相次ぐ自然災害に耐えられるよう耐震化工事を含めた学校施設の補修・改築を進めるとともに、子供たちが安心して教育を受けられるようにすること。
八、全ての学校に「専任・専門・正規」の学校司書を配置する制度を確立すること。
九、大学・短大・専門学校の学費負担を軽減すること。

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