請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 118 件名 介護保険制度の抜本的転換を求めることに関する請願
要旨  コロナ禍の下、高齢者施設でのクラスターが続発し、介護現場では先が見通せない不安と緊張の日々が続いている。高齢者の命と暮らしを守るために、感染防護具の供給や検査体制の拡充、感染が生じた事業所へのサポートなど政府による感染対策の強化が求められている。政府は、少子高齢化が進む中で高齢分野への財政支出を増やすことなく、制度の持続可能性維持の責任を国民に押し付け、利用者の費用負担を増やしサービス削減を続けてきた。その結果、利用者・家族の介護・生活困難が拡大した上、介護離職は年間十万人のまま高止まりし、介護殺人も後を絶たない。地域での介護を支える介護事業所は、低く据え置かれてきた介護報酬の下での経営難にコロナ禍が直撃し、大幅な減収に直面している。二〇二一年四月に介護報酬が〇・七〇%引き上げられたが、焼け石に水であり、感染対策(期間限定の+〇・〇五%)としても全く不十分である。介護従事者の賃金は全産業平均と比べ月九万円も低いまま、何年勤めても賃金が上がらず、やりがいを感じながらも働き続けられず辞めていく職員は後を絶たない。政府は見守り機器の導入などを条件に人員基準を緩和したが、機械に介護はできない。このままでは担い手がいなくなり、制度そのものが維持できなくなることが懸念される。政府は、二〇二二年早々から審議される次の介護保険制度見直しに向け、要介護一、二の生活援助やデイサービスを総合事業に移すこと、利用料負担の原則二割化、ケアプランの有料化などを検討課題として、更なるサービス削減を進めようとしている。新型コロナウイルス感染症の蔓延(まんえん)は、社会を支える介護という仕事の重要性を浮き彫りにし、これまでの政府による介護保険の見直しが地域の介護基盤を大きく切り崩し、介護の担い手の処遇や社会的地位を低く留め置いてきたことを明らかにした。これ以上の負担増・サービス削減は絶対に許されない。施行後二十年以上が経過した介護保険について、介護する人と介護を受ける人が共に大切にされる制度への抜本的転換を図ることを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、安心して介護サービスを提供できるよう新型コロナウイルス感染症対策を強化すること。
二、介護保険料・利用料負担の軽減やサービスの拡充など介護保険制度の抜本的な改善を行うこと。
三、全ての介護従事者の給与を全産業平均水準まで引き上げること、その財源は全額公費負担で賄うこと。
四、介護保険財政における国庫負担割合を大幅に引き上げること。

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