請願

 

第208回国会 請願の要旨

新件番号 115 件名 高等学校等就学支援金制度の所得制限撤廃に関する請願
要旨  二〇二二年十月の児童手当支給分より、高所得層(世帯主の年収が千二百万円以上)の中学生以下の子供を対象とした児童手当を廃止することが二〇二一年二月に閣議決定され、児童手当廃止法案として同年五月に国会で可決された。これにより約六十一万人もの子供たちに対する支援を無くし、浮いた財源(年間三百七十億円)により新たな保育所整備など約十四万人分の保育の受皿を確保することを図るとしている。このような親の所得による制限が設けられている子供への給付として、児童手当だけではなく、障害を持つ子供に対する手当(特別児童扶養手当や障害児福祉手当)、高等学校等就学支援金制度などが挙げられる。日本国憲法第十四条第一項では「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」、子どもの権利条約第二条(差別の禁止)では「児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。」とされている。日本で生まれ育つ子供たちには等しく支援が行われるべきであり、児童手当や障害児福祉手当の所得制限によって高所得者の親を持つ子供たちは、親の社会的身分(所得)次第で支援が受けられないという差別が生まれることになる。また、いわゆる中高所得層と呼ばれる世帯は累進課税により高額な税金を納めており、税負担の公平性は既に保たれている。それにもかかわらず、子育て世帯のみに対して累進性を高めることは極めて不公平であり、その経済的なしわ寄せは子供の進路や将来の可能性を狭めることになる。さらに、働けば働くほど子供への給付が無くなるという実態は、働き盛りとされる子育て世帯の就労意欲をそぎ、将来的には国全体の税収悪化を招く。子供たちの給付に対し所得制限を設けることの非合理性もさることながら、消費減少やGDP縮小、景気後退や少子化を促進させるおそれもある。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、高等学校等就学支援金制度の所得制限を撤廃すること。

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