請願

 

第207回国会 請願の要旨

新件番号 35 件名 国が旧優生保護法の被害者に全面的な謝罪・補償をすることに関する請願
要旨  一九四八年に成立した優生保護法によって、一九九六年に法改正されるまでの約五十年間に約二万五千件もの障害を理由とした不当な不妊手術が行われた。法改正後も、国は、当時は合法であったとして被害者に対する謝罪も補償も行わないまま被害を放置した。二〇一九年五月に仙台地裁で、国内で初めて旧優生保護法についての国家賠償訴訟の判決が下された。判決では、結論は原告の請求は全て棄却されたが、優生保護法の不妊手術を強制する規定が違憲・無効であり、憲法上の権利(子供を産むか産まないかを自分で決められる権利であるリプロダクティブ・ライツ)の侵害であることを認めた。この判決に先立ち二〇一九年四月に成立した旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律は、旧優生保護法が違憲であることを前提としないものであり、国による謝罪や責任が明確に示されていない。内容も被害回復には著しく不十分である。旧優生保護法の被害は、単に手術を強制されただけでなく、明確な差別によって心身が傷つけられ、その後の人生に様々な苦痛をもたらし続けていることである。その被害の甚大さを鑑みれば、一時金三百二十万円の支給が不十分なことは明らかである。旧優生保護法が違憲であることを前提とした、真に被害回復に足る法律・対策を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国は、優生思想を推進してきた責任と人権侵害の事実を認め、被害者に対しその名誉を回復するに足る謝罪をすること。
二、国は、被害者を一人も残さず、被害の実態に見合うだけの十分な補償をすること。優生上の理由で行われた人工妊娠中絶の被害者、自分が被害者であることを知らない被害者、優生保護法廃止以降も同様の思想によって不妊手術や中絶が行われた被害者なども補償の対象とすること。
三、国は、補償のための法で優生思想を否定し、性と生殖の権利(リプロダクティブ・ライツ)を尊重することを明記すること。
四、国は、障害を理由に不妊手術を強いた優生政策についての実質的かつ詳細な調査・検証を行い、優生思想の克服と差別の根絶に向けた施策を講じること。

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