請願

 

第207回国会 請願の要旨

新件番号 34 件名 コロナ禍の今こそ学費は無償、奨学金は給付とし、権利としての無償教育を実現することに関する請願
要旨  コロナ禍の生活難、修学難の中で無償教育の実現が急務の課題になっている。親の収入が減り、生徒や学生もアルバイトができず、経済的危機が深刻化している。文部科学省調査(二〇二〇年十二月時点)では、コロナの影響による大学・専門学校の休学・退学者が七千人を超え、奨学金返還困難者も増えている。政府は二〇二〇年四月から大学等修学支援法を施行し、同年六月からコロナで収入が減った学生に緊急給付金支給を行った。しかし、どの施策も支援対象を限定し、困窮する学生の中から真に困窮している者を選別することで親や学生、学校間に対立構造をつくり、救済を求める手を委縮させている。高騰を続ける学費を、奨学金という名のローンと低賃金アルバイトで学生に負担させるという、憲法第二十六条の教育を受ける権利や教育基本法第四条の教育の機会均等への違反は、コロナ以前からあった。受益者負担である教育政策の見直しが、コロナ禍の今こそ求められている。二〇一二年九月、この国は、幼稚園から大学院まで、全ての教育段階において無償教育を実現すると国際公約した。あれから九年、政府はいまだに無償化のロードマップを示さず、教育への公財政支出(二〇一七年の対国内総生産(GDP)比)は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均四・一%に対し、日本は二・九%と最低水準のままである。コロナ禍が続く今こそ教育予算を拡充し、教育を受ける権利として学費は無償にすること、奨学金は給付にすることの実現を強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、大学等修学支援法を無償教育実現の立場から根本的に見直し、大学院生を含め、成績・家計基準を緩和し、消費税増税分限定の財源条項と学校要件を撤廃すること。
二、現行二十年の奨学金返還期間の上限を二十五年とし、返還困難者に対する救済制度を抜本的に拡充すること。
三、日本政府が拘束されている国際人権A規約第十三条に基づき、幼児教育から高等教育までの無償教育を早期に実現すること。

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