請願

 

第204回国会 請願の要旨

新件番号 2069 件名 国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願
要旨  二〇一一年東日本大震災や北海道胆振東部地震などの地震災害、二〇一八年の西日本豪雨、二〇一九年の台風第十五号、台風第十九号、さらには新型コロナ感染症が拡大する中での二〇二〇年七月の豪雨災害など、大規模な自然災害が全国各地で頻発し、多くの人命と財産が失われる未曽有の被害をもたらしている。国土交通省は、度重なる災害に対応するため、二〇〇八年に緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE)を創設し、この間、百六の災害に延べ約十一万五千人(二〇二〇年三月時点)を超える隊員を全国から被災自治体などへ派遣して支援活動を行っている。災害による被害を防止・軽減するには、地域防災計画の周知や気象・地震・火山等の基礎知識の普及により国民全体の防災意識を向上させることが必要不可欠である。そのため、気象庁が行っている精度の高い監視・観測とその成果に基づく情報提供が迅速かつ的確に行えるよう、体制を充実させ、気象観測や予報・技術開発の基盤を強化していく必要がある。また、河川・道路・鉄道・港湾・空港などの公共インフラは、災害発生時に人命救助活動や支援物資輸送のライフラインとなるが、こうした施設の多くは建設から五十年余りを経過して老朽化が進んでおり、国の責任で適切な維持管理や補修を行わなければ国民生活に重大な影響を与える危険がある。また、北海道においては食料供給基地としての農業基盤整備や水産物安定供給のための漁港施設整備も行っており、こうした社会資本の整備や管理に当たる体制を拡充していく必要がある。交通運輸関連では、コロナ禍による産業全体への影響に加え、行き過ぎた規制緩和による事業者間の過当競争や運転手不足も深刻化しており、運転手の過重労働により安全性が脅かされていると言われている。また、地方では、少子高齢化が進行する下で公共交通機関の撤退が相次いでおり、住民の足の確保が課題となっている。さらに、政府が観光立国の実現としてインバウンド六千万人や地方活性化へ向けた政策を進める下で、航空交通量の増加に対応するための体制確保、旅行者が移動する際の安全の確保も急務である。国民の交通権を保障し、安全・保安体制を強化するため、運輸行政の体制を拡充する必要がある。これら国民の安全・安心を守るには、それぞれの分野で専門的な知識・技量を持つ人材の育成を行う教育機関、また、国土交通行政を支える基礎研究を担う研究機関などの独立行政法人においても体制と運営費交付金の拡充が必要である。国土交通省は、気象庁や観光庁などの外局を含め、国土の総合的かつ体系的な利用、開発と保全、社会資本整備、交通政策の推進、気象業務の発達、地理空間情報の推進を役割・機能とし、経済社会と国民生活に影響の大きい政策を担っており、その役割が極めて重要となっている。しかし、引き続く定員削減により、行政サービスの低下を余儀なくされており、国民の安全・安心を守り、国民の要望に応え、信頼される行政サービスを提供するために国土交通行政を担う組織・体制の拡充と必要な職員の確保を強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国土交通行政(気象庁・観光庁など外局を含む)を担う組織・体制を拡充し、必要な職員を確保すること。
二、国土交通省が所管する独立行政法人機構の拡充と職員の確保を行うとともに、運営費交付金を増額すること。

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