請願

 

第204回国会 請願の要旨

新件番号 1528 件名 新型コロナウイルス感染症と筋痛性脳脊髄炎の研究に関する請願
要旨  筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(以下「ME/CFS」という。)は、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD―11)において神経系疾患(8E49)と分類されている神経免疫系の難病である。米国では国立衛生研究所(以下「NIH」という。)の神経系疾患セクション主導で研究が行われており、日本でも日本医療研究開発機構(AMED)の「ME/CFSに対する診療・研究ネットワークの構築」「ME/CFSの血液診断法の開発」の研究班が、国立精神・神経医療研究センター神経研究所において本格的な研究を進めている。二〇一四年には厚生労働省の実態調査が実施され、約三割の患者が寝たきりに近く、ほとんどの患者が職を失うという深刻な実態が明らかになっている。ME/CFSの集団発生は歴史的にウイルス疾患の流行後に起きており、新型コロナウイルス感染症(以下「COVID―19」という。)がME/CFSの引き金になり、患者が多発する可能性があると多くの専門家が警告してきた。米国では、国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長がCOVID―19後に長引く症状は筋痛性脳脊髄炎の症状に似ていると発言したことが、二〇二〇年にCNNニュースで取り上げられ、英国では、国立衛生研究所がCOVID―19の後遺症には四つのパターンがあり、その一つがウイルス感染後疲労症候群(ME/CFSを含む)であるとする研究報告を発表した。COVID―19とME/CFSの関連性は、海外ではNature、TIME、BBC News、The Japan Times、The Washington Post、The New York Times等の多くのメディアで取り上げられている。ME/CFSの専門医の診察と検査を経て、日本においてもCOVID―19後にME/CFSを発症した人が確認されている。第二百三回臨時国会にCOVID―19とME/CFSの研究に関する質問主意書が提出され、政府は「学術論文等において、ウイルスに感染等した後にME/CFSを発症したとする事例の報告があることは承知している」「COVID―19から回復した者の症状について、実態把握に関する調査研究を行っているところであり、「ME/CFS発症の可能性を調べる実態調査」の実施及び「COVID―19とME/CFSに焦点を当てた研究を行う体制」の構築については、当該調査研究を含む国内外の研究の結果等を踏まえ、検討してまいりたい」とする答弁書を閣議決定している。過去のME/CFSの集団発生の研究による科学的エビデンスを基に推定すると、COVID―19の全感染者の一〇~一二%がME/CFSを発症すると予測される。米国ではNIH、スタンフォード大学、コロンビア大学等でCOVID―19とME/CFSに焦点を絞った研究が行われており、日本でも一日も早く実際に研究が開始されることを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、COVID―19後にME/CFSを発症する可能性を調べる実態調査、並びにCOVID―19とME/CFSに焦点を絞った研究を、神経免疫の専門家を中心に早急に開始する体制を整えること。

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