請願

 

第204回国会 請願の要旨

新件番号 982 件名 障害福祉についての法制度拡充に関する請願
要旨  世界中の人々を生命の危険と生活不安に陥れている新型コロナウイルスの感染拡大は、収束のめどが立っていない。世界共通の傾向として、基礎疾患のある人、高齢者、生活困窮者の感染による重症化や死亡率は高く、そこには多くの障害のある人が含まれている。国によっては治療の優先順位を付ける生命の序列化も起きており、日本ではクラスター化した障害者施設に対して、差別的な発言が続いた。こうした差別意識や優生思想は、今般のコロナ危機の下で浮き彫りになった。これは、長年にわたって進められてきた優生保護法下での人権侵害や昨今の福祉分野を含む生産性重視の政策と深く関係している。また、コロナ危機は日額払いや応益負担など、障害福祉や介護保険の制度の欠陥を鮮明にした。障害者権利条約に掲げられた障害のある人が障害のない人と同等に生きることのできる社会を実現するためには、日本の障害福祉関連予算をせめてOECD加盟国の平均並みに引き上げることが必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、新型コロナウイルスの感染拡大の下、障害のある人、家族、支援者、事業者は様々な困難に直面している。障害のある人がコロナ禍の下でも安心して生活できるようにすること。
 1 障害のある人や支援者の生命や健康が脅かされないよう、安心して検査や医療が受けられる体制を国が責任を持って拡充すること。
 2 生産活動が収入減となった事業所で働く障害のある人に対して、国として工賃の補償をすること。
 3 新型コロナウイルスを始めとする感染症や災害などの場合でも安定した事業運営ができるよう、事業所の日額払い制度を改めること。
 4 福祉に携わる人が安心して働き続けられるよう、労働条件を抜本的に改善できるような報酬とすること。
 5 地域活動支援センターに対するコロナ禍における各種の給付等について、総合支援法に基づく個別給付事業と同じ取扱いとなるよう、国としての対策を行うこと。
二、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」は、国の謝罪を明記し、支給額を見直すなど、被害者の人権と尊厳の回復にふさわしい法律とすること。一時金支給法に基づく調査は、真に実態が明らかになるよう、被害者の立場に立って検証すること。
三、障害のある人が六十五歳を超えても必要とする支援を自ら選んで、自己負担なく利用できるようにすること。

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