新件番号 | 572 | 件名 | 特別支援学校の設置基準策定に関する請願 |
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要旨 | 全国的に特別支援学校の児童・生徒数の増加が進み、この十年間に二万七千三百九十九人の増加となっている。在籍者が十年前の約一・二三倍になっているにもかかわらず、学校建設は極めて不十分である。全国で不足している教室は、二〇一九年の文部科学省調査で三千百六十二教室に上ることが明らかになっている。また、同じく文部科学省の公立学校施設実態調査報告(二〇一八年度)では、教育活動に必要とされる面積に対し実際の特別支援学校の保有面積が三分の二程度である実態が明らかにされ、ほぼ一〇〇%充足している小中学校などとの違いが歴然としている。普通教室確保のために、一つの教室をカーテンやつい立てで仕切り二教室として使ったり、図書室や音楽室などの特別教室を普通教室に転用したりしている。仕切った教室はとても狭い上に、隣のクラスの先生や子供の声が筒抜けになり、落ち着いた授業にはならない。特別教室がほとんどない学校では、音楽も、図工・美術も、作業学習も全て普通教室で行わなければならない。体育館を使用できる回数が少なく、廊下を走ったり、教室や玄関ホールで体操をしたりする学校も多数ある。トイレが足りず休み時間に行列ができる、給食が必要数作れない、スクールバスでの通学時間が一時間を超える等、児童・生徒数の急増に教育条件の整備が全く追い付かない現在の状況は、子供たちの学ぶ権利を奪うばかりか、命と健康をも脅かしており、もはや人権侵害と言える。こういった事態の根幹にあるのが幼稚園から小中学校、高校、大学、専門学校まで全てにある設置基準(学校を設置するのに必要な最低の基準)が特別支援学校だけにないことである。 ついては、次の事項について実現を図られたい。 一、学校教育法にのっとって、次の内容を含む特別支援学校の設置基準を早急に策定すること。 1 二十四学級以下で児童生徒数が百五十人以下を適正規模とすること。 2 「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令」第三条に示されている小中学校の特別教室(理科教室、音楽教室等)を特別支援学校の小中学部にも適用し、加えて特別支援学校独自の特別教室(作業室、プレイルーム、自立活動室等)や更衣室を明記すること。 3 通学時間を一時間以内とすること。 二、普通教室や特別教室の不足数を把握するための実態調査を毎年行い、特別支援学校の過大・過密を解消するよう各自治体に働きかけること。 三、特別支援学校を新増設する各自治体への補助率を増やすこと。 |