請願

 

第204回国会 請願の要旨

新件番号 207 件名 全ての私立学校に正規の養護教諭を配置し、子供の命と健康が守られる教育条件を求めることに関する請願
要旨  二〇二〇年は、新型コロナ感染症の全国的な広がりの中で学校現場も大変な混乱が続いている。子供と教職員の命と健康が守られるべき学校であるが、私立学校では公立学校では当たり前の四十人以下学級すら実現しておらず、過密な実態である。現代日本の子供たちは、国連子どもの権利委員会からも度々勧告されるほど、過度な競争にさらされ、心身に悪影響を及ぼしていると指摘されている。アナフィラキシーなど重篤なアレルギー症状、偏頭痛、腰痛、貧血、低体温、起立性調節障害、過敏性腸炎などの健康問題、ネット・ゲーム依存、自傷行為、鬱、不登校などの精神的な問題も増加している。また、貧困や虐待などの深刻な要因や自閉症スペクトラムなど発達上の課題を抱える等、学校現場だけでなく医療機関や児童相談所などの関係機関とのネットワークで支援が必要な状況が多くある。養護教諭は、日々子供たちの健康実態に向き合い対処するだけではなく、その背景や根本原因にも目を向けて学校内外の連携の中核を担う役割を果たしている。養護教諭の配置は、公立では標準定数法により小学校八百五十一人、中・高校八百一人以上の学校に複数配置との基準がある。私立学校においても子供たちの実態は公立と同様であるが、学校の経営状態や学校の設置者(理事会)の考えによって、子供たちの教育条件や教職員の労働条件に大きく差がある。養護教諭の配置や学校保健体制や特別支援教育体制も、公立学校に比べて大きく立ち遅れている。戦後、学校教育法が施行され、養護訓導から養護教諭に位置付けられ七十年余り経た現在、私立学校ではいまだに教育職としての養護教諭が配置されていない現状、非正規雇用や一人で中高兼務などの現状が多くある。単位制や通信制の学校には、支援を必要とする生徒が多数在籍しているが、養護教諭の配置状況は全日制と比較すると更に深刻である。全ての私立学校の子供の命と健康を守るため、正規雇用の養護教諭の配置と学校保健体制・特別支援教育体制の構築は喫緊の課題である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、全ての私立学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校)に養護教諭を早急に配置すること。
二、私立学校について養護教諭の配置に公立学校と同様の基準を設けること。現行の複数配置基準は、「小学校八百五十一人、中学校、高校八百一人、特別支援学校六十一人以上」である。
三、学校教育法附則第七条(小学校、中学校及び中等教育学校には、第三十七条、第四十九条、第六十九条の規定にかかわらず、当分の間、養護教諭を置かないことができる)を削除すること。

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