請願

 

第204回国会 請願の要旨

新件番号 111 件名 国の責任による三十五人以下学級前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件改善、全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願
要旨  新型コロナウイルス感染症の拡大により、二〇二〇年三月、全国一律に臨時休校が要請され、四月七日の緊急事態宣言とその後の対象拡大・期間延長によって、多くの都道府県で五月末まで臨時休校が実施された。約三か月にわたる臨時休校が行われた自治体では、児童生徒・保護者の不安と混乱が増すばかりで、子供たちの命と健康を守ることと学習権を保障することが大きな課題になった。学校を再開するに当たり、感染拡大防止対策として教室の密を避けるための少人数学級・授業、学校規模の縮小などが必要である。そのためには教職員を増やすことが不可欠である。現行の四十人学級では子供たちの命と健康を守ることができない。教室で社会的距離を確保するには、二十人程度で授業できるようにすることが必要である。今、二十人以下学級を展望した少人数学級の前進が求められている。教育全国署名はこれまで一貫して少人数学級を国に求めてきた。保護者・地域の願いに応えて、国の標準を下回る独自の少人数学級を実施する自治体が増え続けているが、地方財政は苦しく、国の加配の範囲でしか独自措置できない自治体は少なくない。今こそ国が責任を持って少人数学級を実現させるときである。大きな課題である教職員の長時間過密労働解消に向けて最も必要なことは、教職員を増やすことと少人数学級を進めることである。そのために、義務・高校標準法を改正し、抜本的な教職員定数改善を行うことが必要である。同時に、私学の教職員数を増やせるよう、私立高校等経常費助成補助の大幅増額も必要である。また、高等学校等就学支援金の所得制限を撤廃し、制度を拡充して公立・私立共に学費の無償化を進め、無償教育の漸進的導入(国際人権A規約)を具体化することや、正規・専任の教職員を増やすこと、特別支援学校の過大・過密を解消すること、学校施設・設備の改善など、子供たちが安心して学べる教育条件の整備を国の責任で着実に前進させることが必要である。日本の公財政教育支出の対GDP比(二〇一六年度)は二・九%で、OECD諸国の中で最低である。OECD諸国平均の四・〇%まで引き上げれば、小・中・高校の三十五人以下学級実現だけでなく、一人一人に行き届いた教育を保障する教育条件整備と公立・私立共に就学前から大学まで教育無償化を進めることが可能となる。憲法と子どもの権利条約が生きて輝く学校づくりを進めるために、全ての子供に行き届いた教育を実現する教育条件整備を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、新型コロナウイルス感染から子供たちの命と健康を守るとともに、学ぶ権利を保障するため、教育条件整備に全力を挙げること。
二、教育予算をOECD諸国並みに計画的に増やし、行き届いた教育条件整備を進めること。
三、国の責任で小・中学校、高等学校の三十五人以下学級を一刻も早く実現し、「二十人以下学級」を展望した少人数学級を進めること。また、幼稚園や特別支援学級・学校の学級編制標準の引下げを進めること。
四、義務・高校標準法を改正し抜本的な教職員定数改善を進めること。
五、教育費の保護者負担を軽減するとともに教育無償化を進めること。
 1 高校・大学等の学費無償化と高校生・大学生等への給付奨学金制度の拡充を進めること。
 2 私学助成国庫補助の増額と就学支援金拡充で学費の公私間格差をなくすこと。
六、公立・私立共に豊かな環境の下で学べるよう、教育条件や施設の改善を進めること。
 1 特別支援学校にだけない「設置基準」を策定し、学校の新設・増設を進めること。
 2 学校の耐震化を進めるとともに、洋式トイレや教室のエアコンの普及を進めること。
七、東日本大震災などの地震や自然災害、福島原発事故の被害を受けた子供を守り、学校と地域の要望を反映した復旧・復興を進めること。

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