請願

 

第204回国会 請願の要旨

新件番号 36 件名 私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願
要旨  現在、日本の私立大学(短期大学を含む)では、大学生全体の約七五%、約二百二十五万人が学んでいる。しかし、二〇一八年度の私立大学の初年度納付金(入学金・授業料・施設設備費)の平均額は過去最高の百三十三万六千三十三円となっており、私立大学の学生・父母等は、非常に重い教育費負担を強いられている。私立大学入学から卒業までに掛かる学費と生活費の合計は、自宅外生で一人当たり一千万円を超える。多くの私立大学生は、学費や生活費を捻出するため日々のアルバイトに追われ、学業に専念できない状況に置かれている。二〇二〇年度から新たな修学支援制度(給付奨学金・授業料等減免)が始まったが、その対象者は、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生に限定されている。また、授業料・入学金の減免額は最大でも九十六万円で、低所得層であっても多額の自己負担を強いられる。さらに、この新制度の創設を理由に、私立大学に対する授業料減免補助が廃止された。その結果、これまで授業料減免を受けていた中間所得層の私立大学生が減免の対象外となり、このままでは、多くの私立大学生が学業を断念せざるを得ない状況に追い詰められかねない。日本の奨学金はほとんどが貸与=ローンであり、所得に応じて返済する制度があるものの、多額の奨学金が返済できずに奨学金破産に陥る深刻な事態を引き起こしている。誰もが教育を受ける権利を有しており、家庭の経済的な事情に左右されることなく、教育を受ける機会は均等に保障されなければならない。二〇一二年に、政府は国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項の受入れを決定した。これにより、政府は高等教育の無償化を進めていく義務を負っている。私立大学が日本社会で大きな役割を果たしていることを踏まえ、一九七五年に私学振興助成法が制定された際、参議院は附帯決議で経常的経費の補助を二分の一とすることの速やかな実現を求めた。しかし、補助率は二九・五%(一九八〇年度)まで達したものの、現在では九・九%(二〇一五年度)にまで低下している。このことが、私立大学生の学費負担が非常に重い最大の要因である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、授業料減免制度の年収基準を大幅に引き上げ、中間所得層が支援を受けられるようにすること。また支援額を増額すること。
二、給付奨学金の対象範囲と支援額を拡充すること。また希望者全員が無利子奨学金を受給できるようにすること。
三、卒業後の奨学金の返済負担が軽減されるよう制度を改善すること。
四、私立大学の経常的経費の二分の一を補助するよう私大助成を増額すること。

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