請願

 

第204回国会 請願の内閣処理経過

件名 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願
新件番号 2115 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 R3.12.15
処理要領 一 政府としては、てんかんに関する正しい知識や理解の普及啓発を推進する観点から、公益社団法人日本てんかん協会及び一般社団法人日本てんかん学会が共催する「世界てんかんの日」記念事業や、同協会及び同学会が定める「てんかん月間」に対し、後援及び担当官による行政報告等を行っているところである。
  このほか、精神保健医療福祉の一環として、てんかんについて施策を講じているところであり、平成十六年九月に策定した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」において掲げた「こころのバリアフリー宣言」や平成二十一年九月に「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」において取りまとめた「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」に基づき、精神障害に関する正しい知識の普及啓発に取り組んでいる。また、平成二十七年度からは、「てんかん地域診療連携体制整備事業」において、地域住民等への普及啓発を実施している。
  これらの取組に加え、平成二十六年三月に策定した「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」(平成二十六年厚生労働省告示第六十五号。以下「指針」という。)において、てんかんに関する正しい知識や理解の普及啓発を推進する旨が規定されていることを踏まえ、「ヘルプマーク」の配布等の各地方公共団体での取組も参考にしつつ、てんかんに関する正しい知識や理解の普及啓発を進めてまいりたい。
二 平成二十七年度から実施している「てんかん地域診療連携体制整備事業」において、てんかんに罹(り)患している者・家族が専門的な治療や相談支援を受けられるよう地域診療連携体制を構築するため、てんかん診療拠点機関の整備を順次進めている。また、令和二年度からは、てんかん全国支援センターにおいて、てんかん患者及びその家族等と関係機関との円滑な連絡・調整を担うてんかん診療支援コーディネーターの認定制度の取組を進めている。引き続き、全国において地域におけるてんかん診療ネットワークの整備を進めてまいりたい。
  平成二十三年度から平成二十五年度までの厚生労働科学研究費補助金による障害者政策総合研究事業(精神障害分野)「てんかんの有病率等に関する疫学研究及び診療実態の分析と治療体制の整備に関する研究」において、インターネット上に、全国の主なてんかん診療施設のリスト等を掲載し、地域診療と関連諸学会専門医が連携した「てんかん診療ネットワーク」の基盤を形成している。また、指針において、専門的な診療を行うことができる体制を整備し、てんかんの診療ネットワークを整備する旨を盛り込み、平成二十七年度からは、地域診療連携体制の構築のため、「てんかん地域診療連携体制整備事業」を実施し、全国にてんかん支援拠点病院の整備を進めている。
  さらに、平成三十年度から開始している各都道府県の第七次医療計画では、指針を踏まえて、てんかんを含めた多様な精神疾患等ごとに医療機関の役割分担を整理し、医療機関相互の連携を推進するとともに、患者本位の医療提供を実現していけるよう、てんかんに対応できる医療機関を明確化することとしている。
  また、令和元年度から実施している厚生労働科学研究費補助金による障害者政策総合研究事業(精神障害分野)「てんかんの地域医療連携体制の推進のための研究」において、てんかん診療体制の均てん化やてんかん患者・家族の支援ニーズに関する調査・研究を行っている。引き続き、地域におけるてんかんの専門的な診療を行うことができる体制や医療機関間の連携、てんかん診療ネットワークの整備を進めてまいりたい。
  難治てんかんに関する研究・開発については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構において、難治性疾患実用化研究事業により、平成三十年度から令和二年度にかけて「低悪性度てんかん原性腫瘍の分子遺伝学的診断ガイドラインに向けたエビデンス創出」及び「海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかんの原因遺伝子同定と発症機構の解明」に関する研究を実施する等の取組を行ったところである。
  また、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(以下「センター」という。)の中長期目標において、難治性・希少性の疾患に関する研究開発及びこれらの業務に密接に関連する医療の提供等について重点的に取り組むよう定めていることを受け、センターの中長期計画においては、重点的に取り組む研究開発として、「難治てんかんなどの難治性・希少性の高い疾患における治療薬の開発並びに標準治療法の確立に向けての研究開発」が挙げられており、難治てんかんに関する複数の研究が行われている。引き続き、病態解明や新薬開発に向けた研究の推進など、必要な支援を行ってまいりたい。
三 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二 十三号)における「障害支援区分」の認定に関しては、てんかんに罹患している者を含む精神障害者の特性に応じて適切に行われるよう、認定業務に携わる者の資質の向上を図る取組等を行っている。
  また、障害福祉サービスについては、市町村において、サービスの利用に関する具体的な内容や意向を把握した上で、個々の障害者の状況に応じた支給決定を行うこととなっており、引き続き、その周知に努めてまいりたい。
  てんかんに関する総合的な相談窓口の配置については、てんかんを含む精神医療及び精神保健福祉に関する相談に対応する精神保健福祉センター等で、相談指導を行う際に、必要に応じて関係機関の協力を求めることとしており、引き続き、てんかんに罹患している者を含む障害者が地域社会で安心して暮らすことができる体制の整備に取り組んでまいりたい。
四 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)に基づき、平成二十八年四月から、事業主に対し、雇用の分野における障害者に対する差別が禁止されるとともに、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置の実施が義務付けられているほか、障害者に対する差別等が行われている場合、必要に応じて厚生労働大臣が助言、指導又は勧告を行うことができることとされている。
  同法の周知啓発に努めるとともに、てんかんに罹患していることを理由とする差別がなされている場合や、てんかんに罹患している者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善する等のために必要な合理的配慮の提供がなされていない場合など、同法の規定に違反する事案が認められる場合には、その是正を図ってまいりたい。
  さらに、平成三十年四月から、てんかんに罹患している者を含む精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加わっており、引き続き、公共職業安定所において、障害者がその能力に適合する職業に就けるよう、個々の障害者の障害特性等に応じた就職支援に努めてまいりたい。

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