請願

 

第203回国会 請願の要旨

新件番号 936 件名 リニア新幹線で南アルプスの自然を壊さないことに関する請願
要旨  南アルプスは、日本を代表する優れた自然の風景地として国立公園に指定され、ユネスコエコパーク=生物圏保存地域に国内で六番目に登録されている。JR東海は、自然豊かなこの山岳地帯をトンネルで貫通させるリニア新幹線の建設を推し進めている。リニア新幹線は、山梨県、長野県、静岡県にまたがる南アルプスの山岳地帯にある中央構造線を始めとする無数の活断層の中を横切る計画となっている。同山岳地帯は、年間四ミリもの隆起を続けているため、稜線から千四百メートル下にトンネルを貫通させることに対して、専門家から安全性を危惧する声が上がっている。大井川の源流部を有する南アルプスは、貴重な山岳の自然の宝庫とも言える場所であり、日本の国土の生物多様性を支える、言わば屋台骨としての役割を果たしている。トンネル掘削工事に伴う河川の減水(大井川水系では毎秒二トン)、トンネル掘削によって排出される残土処理、十数年以上にも及ぶ工事の騒音、工事のための作業員約七百名が生活する宿舎が建てられる問題等、工事に伴う南アルプスの自然環境への影響は計り知れないものがある。リニア新幹線計画は、日本の中でも貴重で豊かな山岳の自然を破壊する行為につながると同時に、日本のエネルギー政策の将来に大きな禍根を残すことにもなるため、国民的な議論が必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、南アルプスの自然環境保全と沿線住民の生活環境の保全などの立場から、リニア新幹線計画の凍結、見直しを行うこと。
二、リニア新幹線計画は、日本のエネルギー政策の将来にも大きな禍根を残すことから、凍結、見直しを行うこと。

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