請願

 

第203回国会 請願の要旨

新件番号 702 件名 新型コロナ対策の強化、介護報酬の引上げ、介護従事者の大幅な処遇改善、介護保険制度の抜本改善に関する請願
要旨  介護保険制度は施行後丸二十年が経過した。この二十年間、サービスの削減や負担増を図る制度の見直しが繰り返される中、保険あって介護なしの事態はますます広がっている。低く据え置かれた介護報酬の下で介護事業所の経営難が続いており、ヘルパーを始め介護現場の人手不足は深刻さを増している。介護従事者の給与が全産業労働者平均よりも月額九万円も低い実態は、依然として改善されていない。今般の新型コロナウイルス感染症は、経営難、人手不足で疲弊し切っていた介護事業所・介護従事者を直撃している。感染が拡大し先を見通せない状況の中、マスク、ガウンなどの物資の不足、厳しい職員体制が続いており、職員は、いつ感染するか、感染させてしまわないかという強い不安と緊張を抱きながら日々介護に当たっている。大幅な減収によって生じた経営的なダメージも解消されていない。今必要なことは、こうした困難を早急に打開し、次なる波、長期化に備えて介護基盤を強化していくことに政府が力を尽くすことである。介護事業所・介護従事者がコロナ禍で抱えている困難は、政府がこれまで進めてきた給付削減・負担増一辺倒の介護保険制度の見直しがいかに介護保障の基盤を切り崩してきたかを改めて浮き彫りにしている。現在、次期介護報酬改定の審議が開始されているが、報酬が引き下げられることは断じてあってはならない。基本報酬部分の底上げが必要である。専門性を発揮し、長く働き続けるために、介護従事者の処遇改善は待ったなしの課題である。介護の社会化にふさわしく、高齢化の進展に伴い今後一層高まっていく介護需要に応えていくためにも、また感染症のような新たな事態に対処していくためにも、介護保険制度の抜本的な改善は不可欠である。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、衛生用品・防護具の安定的な供給、介護従事者・利用者に対する必要なPCR検査の迅速な実施、介護事業所への経済的支援、介護従事者への支援など、新型コロナウイルス感染症に対する対策を強化すること。
二、二〇二一年四月から実施される介護報酬の改定において、介護の質の向上、安定的な事業所経営、感染症への適切な対応が可能となるよう、介護報酬の大幅な引上げ、見直しを実施すること。
三、全ての介護従事者の給与を全産業平均水準まで引き上げること、その財源は全額公費負担で賄うこと。
四、保険財政における国庫負担割合を大幅に引き上げ、利用料、介護保険料の軽減など必要なときに必要な介護を受けられるよう、介護保険制度の改善を図ること。

一覧に戻る