請願

 

第203回国会 請願の要旨

新件番号 616 件名 精神保健医療福祉の改善に関する請願
要旨  精神科を受診する人は年間三百二十万人を超え、精神疾患の生涯有病率は約二四%と他の疾患に比べても高く、誰でも安心して気軽にかかれる精神科医療の充実は国民的な課題となっている。しかし、日本の精神科医療は、諸外国に比べ半世紀以上も後れを取り、施設療養生活中心で、一般病院に比べて低医療費に抑えられ、医療スタッフの人員も極めて少ない状況である。以前から、疾患治療より社会防衛的な誤った観点が精神疾患に対する差別・偏見を助長し、世界的にも類を見ない長期にわたる社会的入院や隔離・身体拘束による人権侵害をもたらし、国際的にも批判を受けている。日本は、二〇一四年に障害者権利条約を批准している。全ての人の人権が尊重され、患者・利用者本位の精神保健医療福祉の改革を図ることが必要である。
 ついては、誰もが地域社会の中でその一員として安心して暮らし続けられるよう、次の事項について実現を図られたい。

一、良質な医療を提供し、隔離・拘束を原則廃止できるよう、精神科専門職の配置人員を引き上げること。また、一般科より低い人員配置を認めている精神科差別の「精神科特例」を廃止すること。
二、精神疾患や認知症があっても、地域で安心して生活できるよう、早い段階から適切な支援と治療を受けることができる包括的で継続的な支援体制の整備を国が行うこと。また、差別・偏見をなくすための啓発を進め、施策には当事者・家族の声を尊重して反映させること。
三、入院中心から地域への移行を円滑に進めるために、精神保健福祉予算の拡充や労働者の雇用保障、教育・研修を国が責任を持って行うこと。

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