請願

 

第203回国会 請願の要旨

新件番号 472 件名 所得税法第五十六条の廃止を求めることに関する請願
要旨  商店や農家などの自営業は、家族全体の労働によって支えられている。しかし、日本の税制は、所得税法第五十六条「事業主の配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払は必要経費に算入しない」(条文趣旨)により、家族従業者の働き分(自家労賃)を必要経費として認めていない。このため、家族従業者の働き分は事業主の所得となり、多くの税金を負担することになる。家族従業者は、保育園や奨学金、住宅ローンの申込みなど、所得証明が必要なサービスが受けられず、社会保障や行政手続などで不利益を受けている。二〇二〇年度末までの施策の基本的方向及び具体的な取組を定めた第四次男女共同参画基本計画では、「女性が家族従業者として果たしている役割が適切に評価されるよう、税制等の各種制度の在り方を検討する」と明記されている。国連女性差別撤廃委員会は、二〇一六年、所得税法第五十六条が家族従業女性の経済的自立を妨げていると指摘し、所得税法の見直しを日本政府に勧告した。日本国憲法は、個人の尊重(第十三条)、職業選択の自由(第二十二条)、個人の尊厳と両性の平等(第二十四条)、財産権の保障(第二十九条)を定めており、これらの理念にも反する。世界の主要国では、家族従業者の働き分を必要経費と認めている。家族従業者の人権を認めない所得税法第五十六条の廃止を求める意見書は、全国五百以上の自治体で採択され、世論と議会を動かしている。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、所得税法第五十六条を廃止すること。

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