請願

 

第203回国会 請願の要旨

新件番号 252 件名 がんの治療と就労の両立に関する請願
要旨  以前は不治の病とまで言われたがんであるが、医療の進歩により今では長期生存や治癒が可能となり、治療をしながら仕事を続けるということが特別ではなくなってきた。しかし、仕事と治療の両立は簡単ではない。大企業では就業規則で整備されているところもあるが、中小企業においては前例がないことも多く、がん患者と会社で交渉していかないといけないのが実情である。そのため、がんと診断されると退職する患者が多い。また、就労を続けるために、がんであることを職場に隠して孤軍奮闘している患者も多くいる。職場の就業規則に沿って、がんの治療をするために退職せざるを得なくなる場合、それを覆すには大変な労力を使う。育児・介護休業法のような法制度があれば、安心して働きながら治療に向き合える。働くことは経済的な面や、生きがい、社会との接点という面からも重要である。仕事と治療のバランスは人によって異なり、「働くことが生きがい」「社会や職場で自分が必要とされている」という充実感は、何よりの特効薬である。がんの治療は非常に長期にわたり、多額の費用が掛かる。先の見えない治療と日常生活を、患者はがんと二人三脚で歩んでいかなければならない。長い期間を治療だけと向き合って過ごしていたら、生きる意義を見失ってしまう。あと数年で、八人に一人が乳がんに罹患(りかん)する時代がやってくると言われている。人はいつか亡くなる。就労は、自分らしい自分を残す大切な作業であり、がんになったからといってそのチャンスを手放すことはない。がんの治療と就労の両立において、一刻も早い法の整備を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、育児・介護休業法のように、がんの治療をしなければいけない労働者が円滑に仕事と両立できるよう配慮し、働き続けられるように支援する制度を整備すること。
二、労働時間を柔軟にし、休暇を取りやすくすること。
三、がんの治療を理由とした解雇、降格、減給、その他の労働者に不利益な取扱いをしてはならないと規定すること。
四、所定外や時間外労働の制限、転勤への配慮を行うこと。
五、労働者が希望すれば、産業医―主治医で連携し、安心して働ける環境を整備すること。

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