請願

 

第203回国会 請願の要旨

新件番号 111 件名 森下俊三氏のNHK経営委員としての職務上の重大な義務違反を究明することに関する請願
要旨  かんぽ生命保険の不正販売を取り上げたNHKの番組制作に関するNHK経営委員会の対応、取り分け森下俊三経営委員長の対応には放送法第三十六条(経営委員の罷免)に挙げられた職務上の義務違反に明確に該当する次のような行為があった。(一)森下氏は、二〇一八年十月の経営委員会でかんぽ生命保険の不正販売を取り上げたクローズアップ現代+(二〇一八年四月放送)に関して、「今回の番組の取材は極めて稚拙で、取材をほとんどしていない」、「郵政側が納得していないのは取材内容だ。納得していないから、経営委に言ってくる。本質的なところはそこで」などと発言した。それは実際の取材・番組の経過を誤認したものであるにとどまらず、放送法第三十二条が禁じた経営委員による番組編集へのあからさまな干渉に当たることは明らかである。(二)二〇一八年十月の経営委員会で、当時経営委員長職務代行者の職にあった森下氏は石原進経営委員長(当時)と共に、NHK執行部のガバナンス上の問題を殊更にあげつらって、上田良一会長(当時)に厳重注意をするに至る議事を主導した。上記の経営委員会でそれほど重要な議論が交わされたにもかかわらず、経営委員会は、その事実を毎日新聞が二〇一九年九月に報道して以降も隠し続けた。しかも、森下氏は経営委員長としての職にありながら、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会が今年五月二十二日に当日の議事録等を全面開示すべきと答申したことも無視して、議事録等の開示請求者に対し肝心な部分を省いた公表済みの議事概要の寄せ集めを送付するという極めて不真面目な対応をした。このことから、森下氏が、放送法第四十一条で経営委員長の職責と定められた経営委員会の議事録の遅滞なき公表を怠ったことは明らかであり、以上指摘した二つの事項は、森下氏に放送法第三十六条が経営委員を罷免できる事由として挙げた職務上の義務違反があったことを意味する。今年三月三十一日に開かれた参議院総務委員会では、二〇二〇年度のNHKの収支予算、事業計画及び資金計画を承認するに当たって、四会派から共同提案された十九項目にわたる附帯決議案が賛成多数で決議された。その第一項には「経営委員会は、本委員会の審議を踏まえ、経営委員会の放送番組の編集への介入の疑念について、十分な総括と反省を行い」とあるが、経営委員会、特に森下経営委員長は、番組編集への介入ではないかとの指摘に対して、「意見、感想を述べたに過ぎない」と開き直り、十分な総括と反省からは程遠い状況である。また、第二項では「経営委員会は、その意思決定に至る過程等について、公表を原則に適切な議事録等の作成を行うこと」とされたが、経営委員会、特に森下経営委員長は、その後も自由な意見交換に支障が出るのを避けるためと釈明して議事録の非公開に固執している。これは、全面公開すべきというNHK情報公開・個人情報保護審議委員会の答申に背くと同時に、上記の参議院総務委員会の附帯決議第二項を無視するものである。なお、このような経営委員会の釈明は、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の答申第七九八号において、NHKの経営委員会は「視聴者・国民に対し自らの経営委員としての言動については、広く説明責任を負っていると言わなければならない。特に、NHK会長に係るガバナンスの問題というような重要な運営上の問題について、各委員がどのような意見を持ち、どのような議論が行われ、どのような結論に達したのかについては、より強く透明性が求められることは論をまたない。少なくとも、本件を、議事録非公表の場でなければ各経営委員が率直な意見が言えないような類の問題と位置づけるべきものではない。」と明快かつ説得的に一蹴されている。経営委員の任命と罷免に係る国会同意人事に参画する参議院が、放送法第三十二条、第三十六条、第四十一条の定めに照らして、森下氏に経営委員あるいは経営委員長としての職務に係る重大な義務違反があった事実を徹底的に究明するよう求めるとともに、経営委員の任命権者であり罷免の発議権者である菅義偉内閣総理大臣に対し、森下氏を経営委員の職から罷免するよう求める措置を講じられるよう求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、参議院のしかるべき委員会に森下俊三氏を参考人として招致し、森下氏に、「放送法」に違反する行為、職務上の義務違反に相当する行為があった事実を徹底的に究明すること。
二、森下俊三氏をNHK経営委員から罷免するよう、菅義偉内閣総理大臣に意見を提出すること。

一覧に戻る